命の灯火


マコの具合はいたって良くならない。
特に夜中が1番咳がひどく、酸素吸入をさせても一向に収まらない。
実際の睡眠時間は3,4時間だろうか。
体力よりも、『また夜になると、あの子は苦しむのだろうか』という気持ちが余計に自分達を疲れさせている。


始めの2週間は治ると確信してた。
疲れが溜まってきた頃から、本当は治らないんじゃないか、と不安を抱く。
1月の終わりからは、もう駄目かも知れない、気持ちが強くなる。

マイナスの感情は、自分の肉体と精神の疲れに比例していく。

勿論、根底にあるのは、『早く元気になって、また一緒にお散歩しようね』。
切に願い、今、家族はその気持ちだけで生きている。


起きている間中激しく咳をする姿はとても苦しそうで、
お洋服を脱いで状態で触ると、しっかりと肉付いていた背中の骨の形までも浮き彫りにしてしまっている。
年のせいか、若干毛は薄くなっているものの、一目で判断できる衰弱ぶりに、自分で想像していた以上のマコの苦しさを目の当たりにさせられた。

可哀想で触れなかった。
触ってはいけないものを触ってしまった気がした。

マコは全身で咳をする。
それでも、生きようとしている。

苦しくて食事も取れないことが多い。
それでも、ご飯を食べようとする。
あの子自身が今まで病気をしてきた時に、食事を取ることで
体力が回復してきたことを知っているのだろう。

あんなに小さくなってしまった子が、一生懸命生きようとしている姿勢に強く心を打たれた。
マコのことが可愛くて仕方ないが、自分のことで余裕を失ってしまいそうになることが自分がとても傲慢なことに思えた。


生命は儚いけれど、強い。

また一つ、マコに教えられた。

2004年02月03日(火)