近所の高校生君がひとり、今の国語塾を始めてすぐくらいから来てくれている。 彼が「舞姫が全然わかりません。あれ、古文ですよ。教えて下さい」 というので、私も彼のテスト範囲というところを読み返した。 それこそ何十年前、私も高校時代に読んだきりだったし。さらに、ワタシ的には高校時代の悪印象・・・まったく女を捨てるやなヤツだ、、と森鴎外というと横目で睨んでいたっていう経緯がある。 実際、彼はエリスさんがドイツから会いに来たのを追い返しているんだわね。 正直、あんまり読み返したくもないとは思ったが、教えるためにはやらんと話にならん。 そうしたら・・これがおもしろかった! 豊太郎クン、マザコンなのね、ママが30過ぎに産んだ一人っ子って、明治にゃめずらしかったろうに。 で、東大に入って主席となるためにがり勉し、役所につとめて、上司に気にいられ。いやなヤツだせ、しかし今もいるねモード。 で、ドイツに行って3年、にわかに反抗期、自我に目覚めてからの彼の悩みや言動はこれまさにいつの時代にもある若者の青春と孤独。 で、エリスとの出会い。
美少女エリス、明らかにお金を借りるために気の弱そうな豊太郎ちゃんをおメメ「ニャン」したね。 そりゃ、父親の葬式代がなければ、愛人にならねばということなら、やりますよ、美少女は。 高校生君に、この辺り先生はどう教えたの?と聞いたら、 「愛人」とは言わなかったですよ。 彼曰く、でも自分はそうかな、とは思いましたけどね。 私:そうそう、そういうことを考えながら読み進めるとおもしろいんだよ。 でもって、じゃ、「マジ恋人になったのはどこだと思う?ホラ探せ、探せ」 私:仕事を首になり、留学生の身分ではなくなり、母親が死んで・・泣きっ面に蜂の時に・・そういう時ってだれかに頼ったりおぼれたくしたくならないかい? 高校生くん:なり、ますよね。 私:でしょ。だから、ここね、これ以降、2人の愛の同棲生活が始まるわけ。 高校生くん:でも、これって、はめられたんですかね。 私:エリスに? 高校生くん:そう。 私:マアね、エリスとしては資金援助も受けていたろうし、好きだったろうし、別れたくないって思えば、女は、まして、チョーがつく美少女のようだし、するかもね。 高校生クン:やっぱしますよね、おれははめたと思います。 私:そういの、英語でハニートラップっていうんだよ、「はめた」という言葉よりっていうより、ぴったりかなあ。
なんて調子で、実にイトおもしろく学習できました。
ということで、彼のテスト範囲以上に読みたくなって、青空文庫(著作権がなくなった文学作品を紹介しているインターネットの文庫)から、コピーしましたわ。 今晩はそれを読みます。 若いころにワカランかった読み方ができるって、年とるっていいなあ。(笑)
たとえ、文が擬古文でもいまだに高校の教科書に「舞姫」がのっているのはわかった。その魂のありようは、まさに高校生の隣にいる人のごときだから。 また、異文明へおりたち、異文化によって、その心のありようが感化され葛藤していく姿がつぶさに描写されている。 こういうのを、やっぱり、永遠の名作っていうんですよね。
昼間はあたたかかったけど、夜は寒し。 ほっぺがおちるほどうまい枝豆をくれた母に「問題はビールを飲むと震えるほど寒いってことだね」といったら、「じゃ、1升ビン(!)でももらっていって、それにすれば」といわれた。 「でも、私は1日の終わりの一時、新聞や本読みながら、しばしビールタイムが幸福タイムなんだわ。缶ビール1本で、今日も無事におわった感謝のチョー幸せなんだわ」 っていったら、あきれられた。 さて、また震えながら、ビール、飲みますか。 はい、ありがとうの今日1日。
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