世界お遍路 千夜一夜旅日記

2003年05月12日(月) 田舎でショートトリップ

お昼ご飯の用意をしてから、十時半バスに乗って長岡駅へ。そこから11時25分発「蓬平」にのった。
行き先は、山古志村。
今時珍しい一郡一村の村。
錦鯉産地で牛の角突き行事が残る山また山の中にある過疎の村だ。
昨今の棚田ブームで、時々残したい日本の風景などにも登場する。

バスが駅を出て30分、のりかえ口に着く。
ココ、濁沢村も谷あいの地。ちょうど花盛りの藤の花と萌え出た新緑滴るような色がまぶしい。
人家はあるが、人気はない。
それで、山菜取りの入山禁止の看板のみが目立つ。
根こそぎ持っていく、いのししのように畑のものまで盗んでいくということで、町場からの山菜取りの人に対する田舎の人の姿勢はこのところ厳しい。
それは、ウチの近辺でも同じだが、少々さびしいことではある。

待つこと15分、山古志村行きのバスがつく。
長岡に行く人が降りて、村行きのバスの乗客は私一人だ。
谷あいの狭い道をバスがぐんぐんと走り、高度を上げていく。あっという間に峠の上だ。
棚田風景が美しいが・・・農作業は厳しいだろう。
自分の生まれた町から1時間も行かないのに、こんな景色があることに実はビックリしている私だ。
やがて12時50分、山古志村役場の前に着いた。
バスのドライバー氏によると、にぎやかなのは、バスの終点「種苧原」(たねすわら)らしいが、私はとりあえず役所で情報を手に入れたいのだ。
役所は立派な建物。錦鯉の村らしく役所のいり口に立派な鯉が何匹も泳いでいた。
入ってビックリ、なんと役所職員が入り口のいすに横になり、(スーツ姿よ)手枕でそばに灰皿を置いて喫煙中。いいのか??
しかし、手近な人はその人なので、バスで来たんだが、歩いていけるところはどこか・・・それから資料館が見たい、出来たら、昔の写真なんかが・・・と聞いたら、不審者を見るような目つきで「資料館ねえ、いまやっていないよ」
「でもインターネットではしっかり紹介されているではありませんか」
「ジャ、上の産業課で頼んでみてくださいよ」
ありゃ、こんな小さな役所なのにたらいまわしか。
上に入ったら産業課には人気がない。
一人だけいた建築課の人が探しにいってくれた。
出てきたが、大方さっきの下のお方と同じくどっかで手枕でお昼ねだったか。
資料館・・といったら、整理が出来ていないのだが、もしどうしてもというのだったら、教育委員会に行って鍵を開けてもらってみてください、電話しますから。
で、すぐに隣の棟の体育館の脇に教育委員会があるから行って「Oさん」といってくださいね。
いかつい顔だったがまあ優しい応対だった。
体育館、これまた立派。
で、その中にちっこい部屋、それが教育委員会だった。
で、Oさん、すぐに車で資料館へ。私と同年輩の女性だ。
資料館は車で数分走ったところ。廃校舎を利用したものだった。
中には、懐かしい農耕道具、生活用品、わら製品・・・それから木の感触が優しい、老校舎の気配がとてもよかった。
oさん、地元の人らしくいろいろと説明したり懐かしんだり。私にも懐かしい道具が沢山あった。
その後、越後連山が見える校舎跡地、池津闘牛場、牛舎にいる闘牛、中山隧道、天池、スミレ群生地、雪のときにだけ雪崩を避けるために使った雪中隧道、錦鯉センター、都合2時間、車で案内してくださった。
「お仕事はいいんですか」
と私は気をもんだのだが、「今日はじかん、ありますから」とかって。のんびりと春が長けつつある村の案内・・・たった一人のおかしな観光客のために。
「また来ていただくために」って。
おかげで、私は、車がないといけないところまで行けてマジにラッキーだったが。今の時期の教育委員会って、都会は忙しいよ、山古志村は不登校児、引きこもり、居ないんだね。
案内してもらったところで、感動したのは、村の人が手掘りで826メートルのトンネルを貫通させたことだ。昭和5年から16年かけて。
陸の孤島となると、助かる病人も助からない、冬場峠でなだれで人が死ぬ・・コレは何とかせねば、ということだったらしい。
それにしても800メートルよ。
一致団結したその力、凄い根性だ。
このドキュメントは、今村昌平監督のメガホンで映画になったばかりらしい。
改めて、こんなに近いところにこんなドラマがあったことに感動した。

役場にもどって、お茶をいただいた。
あの手枕役所職員、産業課さん、なんと、みんな教育委員会室に集まってお茶しているではないか。
「いや、仲間なんだよ」
でも、まだ勤務時間でしょ。
とはいいながら、錦鯉、牛の角突きの話など話が弾んだ。
私が、入ったら手枕タバコには仰天した、といったら「だって、休み時間だねかね」彼、笑っていた。
教育委員長とは、資料館の話を少し。
周防大島の宮本常一さんの収集された資料館の立派なこと、資料の質的には似ているし、もう少し、農耕具中心に整理されたら凄くいい雪国生活資料館になるのでは・・と。
教育委員長は、周防大島のこと、メモにとっていた。
結局、また来てくださいね、来たらまたよってくださいね、といわれてさよならした。
なんだか、思いがけず楽しい一日になってしまった。
ちなみにこの山古志村。NHK 「こころ」のお父さん(寺尾聡)の故郷という設定なので、近々TVにもしっかりと出るようです。
そういう垂れ幕が役場にでかでかとたれていました。

牛の角突きが見たかったのだが、コレは、5月は4日と22日しかない。
今度、是非行きたい。

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