さして広くないこの国には大小合わせて1500あまりの島があるとか。 エストニアのよさは島にあるという。 この国の島々は、旧ソビエトロシア時代はいわば西側とのボーダーで、「アンタッチャブル」状態。かつての暮らしがよく残っているらしい。
そのうちのひとつに行きたかった。 それがキフヌ。ちっこい島、離島だ。 地球の歩き方には「生きた野外博物館」とある。 タリンのインフォで、キフヌに行きたいと言ったら、それは難しい、あなたはパルヌから50キロも先の港からボートに乗らねばならない、だからパルヌに言って訊けと言われた。 自分のテリトリー以外の情報はびっくりするほど知らない。知ろうともしないし、提供しようともしない。この辺はロシア的。ロシアがそうだったもん。 ということで、パルヌへ。 朝7時40分のバスで、町には9時半過ぎ着。 すぐに町の中心にあるツーリストインフォへ。 中心といっても、メインストリートが1本走っているだけ。 この町のメインは海岸。マッドバス。 (この説明は後で)
「島に行きたい」 「キフヌ?」 「そう」 「9時の船が出たから、今日はもうないかも知れない」 「え、一日一本しか船がないの?」 「今日は土曜だから、でも今聞くからまって」 田舎のインフォおばさんは親切だ。 「○×△・・・・・」 あった。夕方6時の船とそれに接続する船が・・よかったね。 冬になると、場合によってはないときもあるという。 宿のことを聞いたら、10クローネ出したら、その予約までしてくれるという。 もちろん出します。 彼女、電話をかけ始めた。電話の中でしきりと「ヤーパン」といっている。 「取れたよ」という彼女に「あなたはどうして私が日本人だとわかったの?」と聞いてみた。 「日本人は英語がうまくない、あなたの英語も上手ではない、でもコミュニケーションはできる、こちらの言うことを理解している」 と笑った。私も笑った。そしていった。 「日本語は英語や他の国の言語と大いに違う」 「わかっているよ」 と彼女。 よくいわれるんだよね。「コミュニケーションができるからいいじゃない」と。 その後、彼女と島の話、彼女のところに泊まった日本人の女の子の話、などをした。日本人はこのインフォによく来るらしい。 そしてひとつの質問を受けた。 「何故日本人はひとりで旅をするの?恐くないの、さびしくないの?」 これもまた時々される定番的質問だ。 なんでだろう?「リラックスできる」といってはみたが、わたしもわかんないよ。 インフォのおばさんに島を楽しんできてといわれて出た。
夕方まで、パルヌ見学だ。 まずはバルト海の海岸へ。ここはこの国の夏の観光地。女性専用海岸まであるという。(もちろん、トップレスになるためさ) ずんずん海を目指すと途中にどう見てもギリシャかとルコの宮殿みたいな建物がある。マッドバスだ。どういうとこかと言えば、泥を温めて、それに身体を入れて・・まあ泥温浴。神経痛を治したりで、お年寄りが各地から来るところだという。各地から来る、にしてはしんと静かだったが、指宿なんかの砂風呂なんかと似ている? バルトの海はすでに海水浴のハイシーズンは終わったようで、さすがに寒い風の中でトップレスの人はいなかったがそれでもまだ泳ぐ姿があった。 風の気配、空気の透明感、など私にすれば完全に秋だが、冬に日差しが少ないこの国の人は、まだまだ太陽の恩恵にあずかりたいようだ。 バルトの海の音は独特 「ザ、ザザザッザ」 私が思う海の音「ザーンザッブンザザザーー」とは全然違うのだよね。
3時45分、バスステーションから港へ。重い荷物を乗客の男性が運びあげてわたしの席まで持ってきてくれた。ありがとう。 欧米を旅するとこういう親切にたびたび出会って、アタシは女なんだわ、か弱い・・・?(笑)と思うことしばしば。 それで、日本へ帰ると、男たちは絶対そんなことはしてくれないし、のりものでも「どうぞ」と道を空けてくれたりもしないし・・・腹が立つのだ。(慣れは恐い) 彼は、バスをおりる時私の方に振り向いて、手を挙げてにっこり笑ってくれた。私も頭を下げて、にっこり「アイタ」(ありがとう)
6時、船はまだ日の高いバルト海をダダダと進む。 週末を島で過ごす客を乗せている。東洋人なんてもちろんいない。 まあ、瀬戸内海の小さい島にガイジンが行くって感じだからいないの当然だが。 約一時間、島へ。 民宿「トリー」のおじさんがむかえに来ていてくれた。 おじさんのチョーカタコト英語では、どうやら日本人が二人、彼の宿に泊まっているらしいのだ。 (おじさんより、息子の11歳の方が英語がよく通じる。おじさん、時々息子に聞いていた、えらいぞ、おじさん) 私がついてしばらくすると確かに日本人の女性二人が自転車で帰ってきた。 そりゃ「地球の歩き方」に「離島」と書いてるので来る人がいるのはわかる。が、ねえ。 客はほかに若いエストニア人グループ、8人ほど。 後で、彼らのひとりから「タリンで生まれたぼくでさえ、初めてこの島に来たのにどうして日本人がこんなに来るのだ?」と聞かれた。 「ガイドブックに載っているから」と答えたが、我が民族(含む私)は、ホントに野次馬的好奇心強いねえと思う。
夜はサウナ体験。 暖かかった。気持ちよかった。槙で石を温めてのサウナは70度以上でも肌に優しい。日本の温泉などによくあるサウナのようにカアとしない。 暑くなってきたら、シラカバの若枝で水をばしばし。香気が立つ。
私が選んだお部屋はエストニア野外博物館にあったような木作りの、なんとカギもない部屋だ。 電気を消すと窓のない部屋は真っ暗。19世紀の闇だ。 体がサウナで温まったおかげでよく眠れた。
エストニア人たちは深夜までサウナで騒いでいたようだ。
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