おひさまの日記
日記インデックス前の日の日記を読む次の日の日記を読む


2011年02月22日(火) 神様の贈り物

突然のインフルエンザ。
突然の仕事のキャンセル。
とても楽しみにしていた仕事。

しかも、その撮影は、2回目のキャンセル。
1回目は私達の機材の故障。
2回目は私のインフルエンザ。
先方にも申し訳なくて合わせる顔がなかった。
悔しくて仕方なかった。

起こることは必然。
わかってる。
でも、そう思いたくなかった。



隔離部屋で寝込んでいる私にabuが声をかけてきた。

「仕事なくなったし、
 俺、アンナの授業参観に行ってくるよ」

はっ!
そうだ、そうだった!
今日はアンナの授業参観でもあったのだ。
小学生最後の。

「うん、じゃあお願いね」

撮影が決まった直後に学校から連絡があり、
娘には申し訳ないけれど、
参観日は行かないよ、と言っていたのだった。

abuが言うまで忘れていた自分、
胸がチクッと痛んだ。



しばらく眠ると、玄関の戸が開く音で目を覚ました。

「ただいまーっ!」

アンナの弾むような元気な声。
abuが隔離部屋に来て私に言った。

「えみやがインフルエンザにかかったのは、
 こういうことだったんだよ。
 俺、今日学校に行ってやっとわかった」

そして、私に紙袋を差し出した。



なんと…

その授業参観は特別なもので、
お父さんお母さんに贈り物をする日。
サプライズのために内緒にされていたのだった。

子供達はずいぶん前から準備をし、
その日に備えていた。

ひとりひとり、子供が自分の親にプレゼントを渡す時に、
手紙を読んで聞かせてくれることになっていた。
最後にはクラス全員で、
練習を重ねた合唱も披露することになっていて…

つまり、もし行かなければ、
アンナは周りが親に手紙読むのを聞いてもらいながら、
一生懸命作ったプレゼントを渡す中、
練習した歌を一生懸命歌って聞いてもらう中、
ひとりぼっちになってしまうところだった…

親が来ないと寂しい思いをする、
そんな特別な授業参観だとアンナは知っていたのに、
私達が仕事仕事と言っているのをいつも見ているからだろう、
「来なくて平気だよ!」と笑顔で言ったのだった。

けれど、もし、行かなかったら、
ほぼ全員の父兄が来ている中、
みんなのように、
読み上げる手紙を聞いてもらえない、
一生懸命作ったプレゼントを渡せない、
練習した歌を聞いてもらえない、
どんなにか寂しい思いをしたことだろう。

いつもイイコになり過ぎて、
悲しい、寂しいを封印してしまう子なので、
それを知った時、涙が止まらなかった。



紙袋には手紙とプレゼントが入っていた。
abuは手紙を、
私はプレゼントをもらった。

少ないお小遣いで頑張って買った材料を使い、
小さな手で作った可愛いポーチ。
またまた涙が止まらなかった。

「ごめんね、アンナ…」

心の中で何度も繰り返した。
ひょこっと隔離部屋に顔を出すアンナ。
涙を布団カバーでごしごしふいて言った。

「ありがとう、うれしいよ!
 大切に使うね!」

「レースは手縫いでつけたんだよ」

「おーっ、まつり縫いだね。
 さーすがぁ」

「えへへ」



インフルエンザにかかったことで、
こうした流れになったことが、
神様からの贈り物に思えてならない。

ひとりの少女の愛を、
とりこぼすことなく受け取ることができたのだから…
ひとりの少女の心を、
瀬戸際で救うことができたのだから…

そして、何より救われたのは私…



私はどこを見ていたのかしら。
私は何を見ていたのかしら。
私はこんな大切なものを、
何と引き換えにしていたのかしら。
おばかさん。



インフルエンザという神様からの贈り物で、
私は目が覚めた。

青い鳥のように、宝物はそばにある。
遠くを探さなくても。
それをまず大切にしなくて何を大切にできよう。
それを大切にするために強くならなくて、
何に立ち向かうことができよう。
何を守れよう。

子育ては自分育て。
私は娘に育てられている。

ありがとう、アンナ。
ありがとう、神様。

インフルエンザも捨てたもんじゃないわ(笑)



最後にこの場を借りて。
また撮影がキャンセルになったのに、
快諾してくださった、
そして、この出来事を知って心から喜んでくださった、
Kご夫妻に心からの感謝を。
撮影を心から楽しみにしています!


エイミー |MailHomePage
今日も読んでくれてありがと♪すごくうれしい!
My追加
エンピツユニオン