おひさまの日記
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2010年03月13日(土) じじい、お誕生日おめでとう

今日は父の誕生日。
家族全員で父のいる施設にお祝いに行った。

すっかり弱った父。
ガイコツに皮をかぶせたようにやせこけてしまった。
年末の入院からなんとか回復し、施設に戻ったけれど、
悲観するとか、そういうの抜きにして冷静に見ても、
以前よりだいぶ衰弱している。
口を閉じる力もないらしく、ずっとぽかんと口を開けている。

その現実から目をそらさず、しっかり受け止めようと思った。

何を言っても反応があまりないけれど、
でも、こっちが話したことはちゃんと聞いている感じがする。

私は、勇気を出し、父の手を握って言った。
今日、言わなければ、そう思った。

「お父さん、自分が親になって、
 お父さんがどれだけ苦労してつらい思いして
 私を育ててくれたかよくわかったよ。
 本当にありがとうね。
 感謝してるよ」

父は、

「ぉおか(そうか)…」

と、たどたどしく答えた。

「おかげで43歳になったよ。
 もう43歳だよ、早いねぇ。
 いくつになってもお父さんの娘だけどね」

そう言うと、父の口元がかすかに動き、小さくほほえんだ。
そして、私はさらに勇気をふりしぼって言った。

「お父さん、大好きだよ。
 私がお父さんのこと大好きなの覚えておいてね」

父は口をぽかんと開けたまま黙っていた。

おかしいねぇ、親子なのに。
ありがとう、って、
好き、って、
伝えるのにこんなに勇気がいるなんて。

でも、今日、父の78回目の誕生日に、私は必ず伝えたかった。
それを伝えずして…

いつか来る悲しい日を心のどこかに感じながら、
私は今日という日にありったけの勇気を使おうと決めていた。
ずっと言葉にすることのできなかったことを、
今日、やっとまっすぐに目を見て言えたよ。

ほとんど動けない父のベッドの上には、
私が撮った3枚のモノクロの写真が飾ってある。
父の写真が1枚と、父と母の写真が2枚。
施設で撮ったものだ。

写真が好きだったお父さんの娘は、
いつの間にか同じように写真を好きになったよ。
同じ血が流れてるんだね。

私は年齢を重ねていくのが好きだ。
なぜなら、昔にはわからなかったことがわかるようになるからだ。

今わかってるのはね、お父さん、これでいい、ってこと。
すべてがこれでいい、これでよかった、ってこと。
シンプルなことだけど、それがすべてだよねぇ。
そして、すべてに言えることだよねぇ。
生きるって素晴らしいね、そこで起こる出来事もすべて。
ねぇ、お父さん。

お父さんにひどいことされてきたから、
私、セラピストになれたんだよ(笑)
いやー、これだけはホント、何より感謝してる!

じじい、お誕生日おめでとう。
来年もお祝いさせてよ。
お願いだよ。


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