おひさまの日記
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2010年01月11日(月) イルカの気持ち

お風呂に入りながらアンナとおしゃべりをした。

明日の学校でのマラソンの練習が、
校庭のトラックをぐるぐる回るだけで景色が変わらなくてつまらない、
外を走るなら色々な景色が見られて楽しいのに、という話から、
突如イルカの話になり、こんな会話をした。

「アンナね、イルカが見たいな。
 海で泳いでいるところ」

「そうだね、アンナは昔行った鴨川シーワールドの
 プールのイルカしか見たことないもんね」

「うぅん、小さかったからあんまり覚えてないけど…
 プールのイルカは元気ないんだ」

「本来は広い海を自由に泳ぎ回る生き物だから、
 人間の都合で狭いプールに入れられちゃうのはかわいそうだよね」

「うん。
 冬休みのアンナみたいだから、
 きっとすごくつまらなくて悲しいと思う」

「冬休みのアンナ?」

「そう。
 アンナは冬休みの間どこにも出かけないでずっと家にいたから、
 すごくつまらなくて悲しかったの。
 もっと外で遊びたかったのに。
 だから、イルカも同じ気持ちだと思う」

そうだよな…

実家に引っ越して来て、アンナは学区外通学。
お友達は子供がひとりで遊びに行くには遠いところに住んでいるので、
遊ぶ時は私かabuが送り迎えをしている。

けれど、冬休みは、年末年始、お遊びを控えさせた。
慌ただしい年末や、行事の多いお正月に、
人の家に突撃するもの考えものだし。
お正月のほとぼりが冷めても、私とabuは仕事で忙しく、
アンナを送り迎えできなかったし、
ばあちゃんはじいちゃんの病院通い、
アンナはひとりで家で遊んでいることが多かった。

冬休みの最後の日、そんなアンナに申し訳なくて、
私が子供の頃、長い休みに友達とも遊べず家にひとりいて、
すごくつまらなくて虚しくて悲しかった話をした。
アンナもそんな気持ちだったんじゃないかな、ごめんね、って。

すると、

「うん、そんな気持ちだった」

そう答えたっけ。

そうか、その時の自分の気持ちと、
水族館のような場所にいるイルカの気持ちを重ねたのか。
どこにも行けなくて、閉じこもって、
つまらないだろうな、悲しいだろうな、って。

素敵な心だなぁ、と思った。

人は自分が体験して感じたことを自分のものにしていく。
そして、それが自分のものになって初めて、
人が同じような状況の中にいるのを見て、
相手の気持ちを察することができるようになる。

アンナもそれをしたんだなぁ。
自分以外の誰かや何かを思いやることができるんだなぁ。
母、感動。

私はこうアンナに言った。

「今度そういうイルカや生き物を見たら話しかけてあげてね。
 つまらないね、悲しいね、って。
 言葉は通じなくても、その心は必ず伝わるから。
 きっとイルカもわかってもらえてうれしいと思うよ」

アンナは小さく、うん、と言った。

イルカの話をしながら、
きっと、自分がつまらなくて悲しかったことも、
伝えたかったんじゃないかな。

人はまっすぐに物事を伝えるとは限らない。
遠回りに、遠回りに、そぉっと伝えることがある。
言えないけれど、でも、伝えたい、知ってほしい、
そして、そぉっと、遠回りに。

冬休み、アンナにかわいそうなことをしたなぁ、
そう思い胸が痛んだ。
郵便局を辞めたら、もう少し楽しい毎日にしてあげられるかなぁ。

子供は親が思っている以上に多くを感じ、
そして、多くを学んでいる。
私はそんなキミから多くを学ぶんだよ。

いつか一緒にイルカに伝えに行こう。
つまらないね、悲しいね、海に帰りたいんじゃない?って。
そのキミのやさしい心を。


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