おひさまの日記
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人って自分がいい状態じゃないと、 人にもやさしく親切にできないもんだ。
イライラしてたり、ストレスがたまってたり、つらいことばっかりだと、 笑顔にもなれないし、心のゆとりもないし、やる気も失せる。 それどころか、当たり散らしたくなる。
今、私、まさにその状態。
郵便局に入ったばっかりの頃、 お客様にていねいに接しよう、気持ちよく帰ってもらおうって、 本気で思ってた。
でも、今は、ゆうゆう窓口のピンポンが鳴ると、 チッ、うるせーな、来るんじゃねーよ、と思う。 仕事してても、態度が昔よりも機械的になってる。
そして、そんなふうでいながらも、そんな自分をどこかで責めていた。 こんなんじゃいけない、もっとちゃんとやらなきゃ、って。
だから、すごく苦しかった。
もうイヤだ、逃げ出したい、苦しい、限界、 そう感じて壊れそうな自分と、 ちゃんとやろう、お客様を大切にしよう、 そう感じて頑張ろうとする自分が、 常に葛藤していた。
だって、今月に入ってから、ひどいのさ。
私は早番担当で、今まで同じ早番担当の人とふたりでこなしていた仕事を、 ひとりでやらなければならない日がメッチャ増えたのだ。 ま、理由はもうひとりの人が扶養範囲内の収入を希望しているので、 それを越えないようにするために労働時間の調整で休んでるから。 仕方ないっちゃ仕方ない。
いつもは窓口なら窓口だけをやる。 でも、そうなった今、窓口をやりながら、 もうひとりの人がしている代金引き換え払いの伝票作成の事務と、 後納郵便物の入力のチェックのふたつを、同時進行でやるのだ。
もう、ムリ。 体ひとつしかないから。
もちろん、サポートしてくれる人はいる。
窓口の隣の特殊郵便物を扱う特殊って呼ばれるところの人達は、 私が事務仕事やってる間、可能な限り代わりに窓口に出てくれるし、 郵便課の社員さんも事務を手伝ってくれたり、 特殊の人が休憩に行ってしまった時は、窓口に出てくれる。 彼等にも相当な負担がかかっているだろう。
午後に入る同じ窓口の人が、 窓口の終わらない仕事を後からカバーしてくれているし、 ひとりじゃ終わるわけないんだから午後に回していいんだよって言ってくれる。 彼女達も普段以上の仕事を抱え込むことになってしまっている。
本当にありがたいし、本当に申し訳ない。 大変なのは私だけじゃない。
そんな人達がいて助けてくれることが救いなんだけど、 それでも、午前中のバタバタしたあの状態は、精神的にかなり来る。 私がへなちょこだからかもしれないけど、耐え難いものがある。
仮に、他の人ができて、他の人が耐えられたとしても、 私にとってムリで苦痛なら、それはそれでいいじゃないかと、 最近思うようになった、と言うか、思うようにした。 でないと、自分を責めてしまう。
そんな中で自分の精神状態が日々おかしくなっているのがわかる。 追い詰められる感じ。
そして、ふと、思ったのだ。 仕方ないよなぁ、って。 こんな状態じゃ、ぎすぎすしても、とげとげしても、仕方ないよなぁ、って。 だって、もう、壊れそうだもん。 毎日ブチッとキレそうだもん。 危険な精神状態だ。 仕方ないよなぁ、私、つらいんだもん。 そう思ったのだ。
そしたら、なんか、すごく楽になった。 自分の「苦しいよーっ」っていう叫びを受け入れてあげたら、 気持ちが楽になったのだ。 苦しいのに苦しいからこそおかしくなっていく自分を否定していたので、 どこかで苦しい気持ごと否定してしまっていたのだろう。
もちろん、状況は変わらないので、ストレスフルでキツいのは前と一緒。 でも、今すっごくつらいんじゃん、限界じゃん、って認めたら、 つらい中にいるんだけど、なんかほっとした。
自分で自分を受け入れた瞬間だった。 私は自分というたったひとりの味方にさえ見放されていたのだった。
自分のつらさを受け入れたら、面白いことが心の中で起こった。
今まで、すっごい態度されたり、イヤミ言われたり、怒鳴られたりして、 あぁんだコノヤロー!!!って思ってた色々なお客様をふと思い出し、 ああ、みんな色々つらいこといっぱいなんだな、 だから、あんなふうにイヤな人になっちゃうんだな、って思えた。 思い出すだけではらわたが煮えくり返って、 それまで絶対に許せねぇ!!!と思っていた出来事も、 仕方ないよなぁ、苦しいんだもん、ああなっちゃうんだよね、って、思えた。
自分を受け入れると人を受け入れられるってよく言うけど、 こういうことなんだよね。
人は自分のある部分を否定すると、人の中に同じ部分を見た時、許せなくなる。 なぜなら、自分が自分にそれを許していないから。 そうあることを自分に許していないと、人がそうあることも許せない。 絶対に許せない。
あんなに憎く腹立たしく思った数々のお客様を、
「ま、いっか、あの人達も仕方ないよなぁ、 いいことなくて、イヤなことばかりで、思い通りにいかなくて、 苦しくてああなっちゃうんだよねぇ」
そう思えた時、私は自分にも同じ言葉をかけることができていた。
「ま、いっか、私も仕方ないよなぁ、 いいことなくて、イヤなことばかりで、思い通りにいかなくて、 苦しくてこうなっちゃうんだよねぇ」
って。
あったかい気持ちになった。
現状としては何ひとつ変わりない中にいるけれど、 何かの鎖がひとつ、カチャ、っと外れた気がした。
また、ひとつ、大切なこと、思い出した。 言葉で学んで知識にしてきたものを、 体験によって知恵にすることができた。 繰り返し、繰り返し、この作業をするのが人生なのかもしれない。
やっぱり捨てたもんじゃないわ、人生、そう思った。
でも。
イヤです、今の郵便局での仕事の状況。 しんどい、キツい、つらい、精神的におかしくなる。 それが正直なところ。
そんな自分の本当の気持ち大切にしながら、 毎日を精一杯、今の自分のままで過ごしていこう。 そこで感じることが私を未来に連れていってくれるはず。
郵便局をいつ去ろう、そんなことを考えていた。 私は自分の中でその時を決めた。 1年。 1年勤めたらもう自分を解放しよう、って。 春にはその時が来る。 年末年始の郵便局は死ぬほど忙しいから、 かけずり回って気づけばもう私はその時を迎えることだろう。
もし、世界がひっくり返って、気が変わって、 その時もまだ郵便局にいたければ、いることにすればいいし。
逆に、突然限界が来たら、明日辞めるかもしれないし。
それでいいや。
「仕方ない」、時にそれは、 自分を受け入れるための素敵な言葉なのかもしれない。 人は誰にでも仕方ない時や仕方ないことがある。 あるんだ。 そんな自分もひっくるめて、全部大切な自分。 でこぼこでも仕方ないよなぁ、生きてるんだもの。 いいじゃない、それで。
自分にやさしくしよう。 自分の味方でいよう。 それがたとえどんな自分でも。
そして、それこそが、 人にもやさしくできて、人のことも受け入れられる、 そんな素敵なことが自然にできるようになるための、 大切な一歩でもあるのだから。
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