おひさまの日記
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2009年09月05日(土) リセット

この前のお休みに、約5キロ離れた実家まで歩いて帰ってみた。
そんな気分だったので。
実家の近くのお店で友達とランチの約束をしていたのだ。

カメラバッグをかついで、てくてく歩いた。
通っていた小学校、裏路地の通学路、遠い記憶がたくさんよみがえってきた。
今見るととても狭い懐かしい道を、写真に撮ったり。



そんな時、ひとりのおじいさんが道を尋ねてきた。

「あの、○○はどこですか?」

「その交差点を右に曲がってまっすぐ行くと右に見えますよ」

「ありがとう。
 ところで、あなた、プロのカメラマンでしょう?」

「え?
 いや、まあ、趣味も兼ねて…」

意味不明な回答をした。

「僕は画家になりたくて若い頃にフランスに行ったんですよ。
 芸術はいい、僕は才能ないからあきらめたけど、あはははは」

おじいさんは手を振りながら去っていった。



約束より早く行って写真を撮ろうと思っていたので、
実家の裏のお寺に寄ってみた。

そこでカメラを構えたら、後ろから声がした。

「あのー」

振り返ると、コンデジ(コンパクトデジタルカメラ)を持ったおじいさんが立っていた。

「はい?」

「プロのカメラマンだよね」

「え?」

「あのね、教えてほしいの。
 このカメラね、息子に買ってもらったんだけど、使い方がわからなくて」

あら、同じこと言う人がふたり目。
面白い。
さっきのおじいさんと言い、このおじいさんと言い、
カメラ持ってるだけでプロに見えるのかな。

コンデジの使い方説明したけど、
わからないからもういいと言い出した。

「適当に撮ってカメラ屋に持って行ってプリントしてもらうべ」

うーん、いいなぁ、アバウトで(笑)

待ち合わせの時間になった。
ランチするお店に向かった。
結局、写真撮れなかった(爆)



友達とは数年ぶり。
お店の前で彼女は待っていた。
ふたりしてわぁーっと駆け寄った。

開口一番、彼女が言った。

「郵便局で働いてるってメールに書いてあったけど、
 見えないよね、カメラマンって感じだよね」

あれあれあれ、同じようなことを言う人が3人目(笑)
面白いなぁ。

私達は上げ膳据え膳で和食を楽しみ、おしゃべりで大いに盛り上がり、
また絶対ランチしようね、って約束して別れた。



ほんのわずかの間に、全く接点のない3人から同じようなことを言われた。

これは私を見守る存在からのメッセージで、
写真の道に進むように言われてるんだ…とは思わなかった。

でも、偶然だとも、意味がないとも、思わなかった。
それは、私にとって、ひとつのスイッチだったから。

3人からの言葉は、まあ、私の受け取り方なんだけど、
ただ生活のために毎日をなんとなく過ごしている自分を、
きっぱりと否定してくれたように思えたのだ。
それ、仮の姿だよ、あなたはこう見えるよ、って。
都合のいい解釈かもしれないけど、すごく励まされた。
まだ行く場所があるよ、まだやることがあるよ、って言われたみたいで。

そして、それは私のセルフイメージを変えてくれた。
今の自分から、いつかここではないどこかにいる自分へと。

自分の中で、自分が誰であるかという部分において、
郵便局のおばちゃんが定着しそうになっていたし、
すっかり自分の世界すべてが郵便局になりつつあったけど、
それはプロセスであって最終的には違うことしたいんだよな…
たとえ今はそれが何かわからなくても、どこかに向かって行きたいんだよな…

そんな大切なことをハッと思い出すこともできた。

セルフイメージが自分を作っていくという大切なことも忘れたまま、
望まない自分をセルフイメージとして持って、
いつの間にかそれが自分だと信じて、
信じたからそれが事実となって、
私は混沌の中にいたような気がする。

3人の言葉が他愛のない言葉遊びのようなものであったとしても、
私の内側の世界を大きく揺るがすには十分だった。

そういう意味では光の存在から与えられたギフトだと思っている。

帰り道は、来る時よりもうんと清々しかった。



それからも私の毎日はいつもと変わらず過ぎてゆく。
でも、私の内側は以前とはちょっと違っている。
自分がどうあるか、どうありたいかを、選び直せたような気がしたから。

それだけでこんなにも気分が違うんだね。
ここから始まる何か、感じていこう、体験していこう。

時々人生をリセットする時ってある。
まさに、今も。


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