私は 偽善者かもしれない 私は 偽善者なのかもしれない 私は 偽善者なんだろうか まあ世の中 荒んだ事件が多いんですがね そりゃ私だって 何も他人を無下にしないわけで まあ常識的範疇ってゆうか 何か相談されれば親身に乗るし 依頼されれば助けてやらんでもないわけで 昔 はるか昔 まだ チンコに毛が生えそろってもない頃に ブサイクなのに 学校で一番女にモテた友人に その心得を聞くとズバリそれはやさしさだと 以来 私はなるべく女性にはやさしくありたいと思い おかげさまで やさしい って言われるどころか やさしすぎて怖い って言われるどころか やさしすぎてキモイ なんてほなどないせえゆうねん的な 不条理を日ごろよく受けるのだけれど また 私はなるべく正直でありたいと思い 正直こそ人の誠実というもの 本音でぶつかり合うことこそ 正直これ実直 だがときに 正直とやさしさは相反し 正直がゆえに相手を傷つけてしまい また やさしさがゆえに相手に嘘をつかねばならぬ ゆえに やさしさや正直を自薦他薦する人間に 私は 逆に違和感を覚えるのであり 例えば 街中で車椅子の障害者を見るや否や 手を貸そうとする人間 親切の押し売りこそ 彼らにとっては不必要で且つ 障害者に手を貸すという行為に 酔いしれるエゴ以外何者でもなく 勿論 明らかに彼らが狼狽していたり 助けを求めていれば そこで初めて親切を発動すればいいだけの話で だからこそ キリストやガンジーやブッダやマザーテレサではあるまいし 節度あるやさしさ 節度ある正直 以前 私はいつだかの日記で 通勤ラッシュの電車内で 目の前にきたお年寄りに 自分の睡魔を優先して座席を譲らなかった 勿論その行為に非難批判糾弾されるのも 私は甘受するし 事実 その後私は自分のした行為に罪悪感を覚え その罪悪から解放されるために日記で告白し懺悔したのだけれど 事実 その後私は深く反省し 事実 その後同じような状況になったときに エゴや親切や一切の感情を抜きにして 自然に そう自然に席を譲れるようになったのであり 失敗を過ちを繰り返さない 寧ろそれを糧にして人は成長するんだけれども 少し前 私はいつもより早く駅に着いた そして 温かいコーヒーを買い一服 急ぐ人波をゆっくり眺めながら至福の一服 と およそ出勤とは思えない服装に荷物の若い女性 携帯で誰かとやり取りをしているのを見ると おそらく友達か彼氏とおでかけ 時間帯からしてもしかしたら小旅行かもしらん そんな彼女を眺めていますと 電話に夢中の彼女のカバンから 財布と手帳のようなものが落ちた 私はその瞬間を見ていた しかし 私は身体が動かなかった と 言うよりも 明らかに派手に物が落ちたので なんぼなんでも気づくやろうと しかし 彼女は気づかないどころか 電話しながら 目の前の喫茶店に入っていったわけで ありゃりゃ気づいてへんがな と思ったら歩いてきたリーマンのおっさんが 財布と手帳を拾い上げ中身を確認 落し物だと認識したのだろうか 拾い上げたものを あろうことか駅長室に届けやがたのであり 落し物は駅に持ち主は喫茶店に これ恐らく彼女と落し物はすぐには交わらない 駅の落し物はしばらくして ターミナル駅の拾得物集中管理室に運ばれるのであり それまでに彼女が駅長室に財布落ちてなかったかと駆け込む必要があるのだが 彼女は喫茶店でコーヒーを優雅に飲んでいるのであり そう後払いシステムでいざお会計のときに 財布がないと揉めるのはこれ必至であり もしかしたらその後の小旅行にも影響があるかもしれない と そこまで私は瞬時に判断した しかも目撃者は恐らく私一人 この事件を瞬時に平和的解決できるのは 私しかいない そう 判断したのだが 私の電車の時間が来てしまい 私は 彼女に 何も出来ぬまま 何もしてやれぬまま 出勤したのであり やはり また罪悪感に苛まれ ここで 告白 懺悔いたします もちろん 私の何もしなかった行為は 確かに罪悪ではあるが 改めて 懺悔して 謝罪した上で言わせてもらうと 派手に物を落としといて 気づかんのか と 店に入る前に 財布の有無を確認せんのか と そもそも私の場合 目の前でそおゆうトラブルが起きたときに これは何かのドッキリなのかと 思ってしまうフシがあり 故に出足が遅れるわけで ドッキリへの疑念がわきあがる時点でそれは メディアの悪影響であるからして いやいや 開き直っているわけではないんだけれども 多少の自己責任というかさ あるわけでしょやっぱり だから 凶悪犯罪とか聞くに堪えない 荒んだ事件が起きているのだとしたら 自己防衛っていうか 危機管理っていうか それはさておき 昨年の夏 13連勤のど真ん中 その予兆はあった 夏の暑い日 朝 起きれなくなった それは睡眠不足とかでなくて 身体に力が入らない ベッドから起き上がれなくなり 身体が重く感じていたのだけれど 仕事に穴を開けるわけにもいかないし 考えれば 似たような症状は 今までに何度かあった それは もしかしたら低血糖とか 運動不足による筋肉の収縮とか 全身筋肉痛のような症状から そんなことだろうと思っていたし 事実 仕事が終わる頃には 筋肉痛は残っているものの 歩けるまでには回復したし 事実 その足でAVを借りオナニーまでできたわけで 楽観していたというか 13連勤のど真ん中 悲観の余裕もなかったのが事実だったのだが 翌日 またベッドから起きれない なんとかベッドからはいずり出たのだが やはり起き上がれない しばらく時間をかけて立ち上がると 足が上がらない 足が上がらない故につまずき また立ち上がれない ここで初めて なにかよからぬことが私の身体に起きている しかし 病院の何科を受診して良いのかもわからぬ とにかく なんとか出勤し また帰る頃には症状も緩和しており 朝はまた症状が出るかも知れぬが 週末にでも病院に行けばよいかと思い その日もオナニーして眠りについた 3日目 案の定 朝体が動かない しかしこの頃になるとコツをつかみ まず下半身だけベッドの下に投げ出し その段差を利用して上半身を起こす 週末までこれでダマシダマシ行くしかない しかし駅に着くともはや歩くのも困難になり 手すりにつかまらないと歩けない 猛暑の中 必至の思いで電車に乗り込み座席に座った 乗り換えの駅に着いたところで 今度は その座席から立ち上がれなくなった とにかく周囲に迷惑をかけまいと 乗客が降りてから ゆっくりと手すりをつかんで立ち上がり ドアまで移動したまではいいのだけれど 電車を降りたその第一歩 足は 完全に 麻痺し 着地の感触もなく 私はそのまま エキノホームに倒れ込んでしまい 立ち上がれなくなった 段差もない駅で うつぶせに倒れこんで狼狽していると この荒んだ世の中でも 見知らぬOLさんと 見知らぬサラリーマンさんが 大丈夫ですかと駆け寄ってきてくれて 身体に力が入らず動けない旨を伝えると サラリーマンさんは私を仰向けにしてくれ 身体が冷たくなっているから動かないように指示してくれ その間OLさんは駅員を呼び車椅子を手配してくれ 3人がかりで私を車椅子に乗せてくれ ありがとうございましたと礼を言うと 彼らは当たり前のように 大丈夫だから と一言言い残して去っていったのであり ああこんな親切な人が 日本にはまだ存在するのか 日本もまだまだ捨てたものではないと 駅長室の休憩所で思っていると しばらくしても症状は一向に回復するどころか 今度はノドが筋肉痛というか ツバを飲み込むチカラがもうノドにはなく 呼吸することがしんどくなってきたわけで 駅長さんが救急車を手配してくれ ここに 私は 生まれて初めての救急車に 乗ることと相成ったわけでございます しかし 見知らぬOLさんサラリーマン駅長さんは親切だったのに 駆けつけた救急隊員は ハナから夏の暑さのことどうせ貧血だろうとタカを括ってたのか 意識がクリアーな私を見て 救急車をタクシー変わりに使うようなバカと思ったのだろうか 扱いが非常にぞんざいで不愉快極まりなく 私が手足が麻痺していると訴えているにもかかわらず 倦怠感などと簡単な言葉で無線を入れやがるのであり ともかく 近くの病院に搬送されることになったのだけれど 着いた救急病院でも まるで警察の取調べ 何度も何度も同じ質問の繰り返しだったのだが ともかく ともかく 病院に着いた 原因はまだわからんが 病院にいる以上ここで死ぬこたないだろうと 安心した瞬間 私の胸に去来したものは 私に駆け寄ってくれたくれたOLさんとサラリーマン 彼らの間から見えた こちらの様子を伺いながら歩いていった 女子高生 の スカート ああ 寝転んで これだけ視線が下になっても 女子高生のスカートの中って見えないもんなのだなあ と もう少し近寄ってくれれば スカートの中身が見えたかも知れぬのに と 生死の間にあっても 女子高生を見てしまう業の深さ しかし ここは病院 ありがとう 見知らぬOLさん ありがとう 見知らぬサラリーマン ありがとう 駅長さん ありがとう 女子高生 そう感謝の気持ちでいっぱいになったときに 一人の医師が近づき こう いい残した 脳卒中かもしれません。
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