少女に毎月生理があるように
人間
特にうだつのあがらない安リーマンには
間隔はひとそれぞれあるものの
定期的に
それでいてごく自然に
このままでいいのだろうか
私は何をやっているのであろうか
などと現実に直面するわけで
そおいったことを
あまり深く考えすぎると
ただココロの病気がぶり返すからして
こういった漠然とした不安と
折り合いをつけて
なんとか適当に騙し騙し
社会人の一員として
昭和のおっさんらを欺き
ネコを被って生活していくには
こおゆうときはもお
普段と逆方向の電車に乗ったり
どこか遠くに行きたい。
海が見たい。
などとわがまま子猫ちゃんみたいなことを
つぶやきながら
思いきって
現実逃避するに限るのであり
現実逃避することが手っ取り早く
現実逃避することが一番の良薬であるがゆえ
ここんとこ体調がおもわしくないこともあって
ホントに久しぶりに
そおゆう感情を抱いた私は
染太郎の追悼に
などとわけのわからんことを
その旨上司にもおわけがわかりませんねやと連絡し
そのまま会社をさぼって
朝から神戸まで出かけたのだよ。

ただ何も考えずにぼおっと出かけるよりも
プチ引きこもりの私は
意外にも何かその日の目標をかかげ
過ごす事にささやかにいやされるので
ここはやはり
福原にでも行って
スッキリしようかなとも思ったのだが
福原の人達は
これ異常に愛想が良い良すぎるので
じゃあ顔だけでも
なんて軽い気分で行くと
ああ悪い事した
ああ悪い事したと
悪い気になるので
今日はそんな重たい気分ではなく
かる〜くサクサク行きたかったので
そおださびれた味のあるいなたい店でカレーを食べよお。
そおださびれた演歌が流れるパチンコ屋で
え？こんなのまだあるの？おれの青春だよこりゃあ。と独り言を言いながら
往年の名機を探して打とお。
そおだ体調が悪いのはマクラが悪いのだ
オーダーメイド枕というものが最近流行ってるんだって
オーダーメイド枕にチャレンジしてみよお。
そおだ染太郎の追悼だからね。
などと３つの目標を掲げ
人通りが少なくなるところまで歩いて行くと
さびれたパチ屋発見し
わおお。わちゃあ。わおお。うひょお。
と奇声を発しながら
独りでパチご堪能。
そおだ枕を買わなきゃと
いそいそと換金して
ここから機転の効く私
電気屋に入り
ブロードバンドというものは
そんなに速いものかね。
はは。やっぱりネットは高速だよね。
染太郎の追悼だよね。
と買おっかなフェロモンを発しながら
テキトーに置いてあるパソコンを勝手にいじりながら
オーダーメイド枕を検索。
そしたらまあ都合の良い事に
神戸にオーダーメイド枕専門店があるぢゃあないですか
と意気軒高に初体験きゃっなどとつぶやきながら
お店に入ったのだけれど
これがまあワンダーランド。
まずお決まりのアンケート
つまりは人生の枕履歴みたいなことを
記入させられたのち
実際にベッドに寝かされ
いろいろな枕の素材
いろいろな枕のカタチを
客一人につき女性店員がひとりつきっきり
３〜４０分の行程を経て
晴れてオーダーメイド枕が完成するのだけれど
まず女性店員がみな若くかわいいのだよ
いや若けりゃいいってもんぢゃなくて
みなこれ知的風味。
しかも親身。
私の知的リビドーをガンガンに刺激するわけで
私は革ジャケの下にパーカーを着こんでたものだから
じゃあフードが邪魔だから脱いでください。
なんて笑顔で言われ
Ｔシャツ一枚で彼女の前に寝かされ
ああそんな眼で見ないで
ああそんな真っ直ぐな眼で私を見ないで
もお少し硬いほうがいいかな。
あ、そおだね。いい感じだね。
染太郎の追悼だからね。
じゃあ少し横をむいてください。
なんてうすい壁で間仕切りされた会話は
まるでもおピンサロ。
ベッドのうえでここがこおなんて
会話はまるでフィニッシュしたあとの心地よい雰囲気
オーダーメイド枕よりなによりも
女性店員とのカウンセリング
それが何よりも楽しく気持ち良くて
枕よりも
染太郎よりも
枕よりも枕よりも君があぁぁっ
てな葛藤と戦いながら
晴れて私は
かくしてオーダーメイド枕を手にしたのである。

帰路の電車内でその出来事を振りかえってみるに
限られた空間
ベッドで女性と二人きり
オーダーメイド
つまりは自分の個人データの秘密の共有。
オーダーメイド
つまりは自分の本性を彼女にさらけ出し
二人で議論しながらつくる新婚さんのような達成感。
こういった複数の要素が
密接にからまってまぐわい
店を出る頃には
ああなんだかスッキリ。
今日はゆっくり眠れそうだ。
とつまりは癒されるに至り
ああこれは良い商売だ
なかなかニクイ演出だ
これはもお実に巧妙な風俗なのだな。
どおりで流行るわけだと
結論に至るのである。

今回のキーワードはこの
「オーダーメイド」
という非日常的な言葉にあるわけで
この言葉の秘匿性に
神秘的な魅力を感じるわけで
ならばいっそ
今まであるようでなかった
「オーダーメイド・コンドーム」
というのはどうだろう。
コンドームの今日は多種多様なものが
発売されているとはいえ
実は意外と不便で
特に私の場合
短いくせにちょっと太めであるがゆえに
従来のコンドームでは
血管が圧迫され
本来の能力が発揮できず
あげく女性との別れ際に
このヘタクソなどとののしられるわけで
太目のちんこ用コンドームというのも
あるのはあるのだけれど
購入の際には洋服などのように
「試着」
ができないゆえ
いい歳こいて家でＡＶを見ながら
一度テスト装着する必要があり
ましてサイズが合わないからといって
返品・交換などできるわけでもなく
コンドームというのもそこそこの値が張るがゆえに
今日エッチをします
って前々から決まっている場合にはまだいいのだけれど
今日は勝負だ。
などと不安定要素が強いときには
するかどうかわからんために
お金を支払うのであり
エッチできればいいが
できなかったときには
テスト装着までして確かめた行為が
ものすごくむなしいことこのうえなく
そこに私は強い矛盾を感じており
そこで
オーダーメイド・コンドーム
そのためには
まずサイズを測らなきゃあいけません
イエス。
若い女性店員と
ベッドで二人きりになり
きゃっきゃきゃっきゃ
わあおおおきいのね。
なんて言いながら
二人で装着具合なんてのもテストして
男はスッキリサッパリします。
なによりも風俗店じゃあない。
勃起・発射はよりフィットした
オーダーメイド・コンドーム
を作るための必須条件なのですから
発射させるのが目的ぢゃあないのですから
あくまでもコンドーム屋だから
風俗届がいりません。
これどおです？
流行るとおもいませんかあ？
私は絶対流行ると思いますがな。

そんなわけで
「オーダーメイド・コンドーム」
誰か出資してください。

あ、帰り際に食った
さびれたカレー屋のカレーは失敗でした。
びちゃびちゃでコクもなければキレもなく
カレーライスではなく
「カレー風味のごはん」でした。
さびれたカレー屋には
さびれた理由がある。
今日こんな発見もしました。
オーダーメイド枕屋のおねえちゃん。
お世話になりました。

レッツ・ベンチャー。
レッツ・ドロップアウト。
出資者永遠にボシューン。
染太郎の追悼だから。