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僕の、場所。

今日の僕は誰だろう。



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聖誕祭

12月も半ばをすぎると、ぐっと寒くなった。
でも部屋の中は完璧な空調。
暑くも寒くもなく、ただ少し乾燥がち。
もらいものの林檎を、自分で器用にむく。
「若いから食事が足りないのかな?」なんてからかわれながら。
もらいものだから、食べなくてはもったいないだけ。
冷えた林檎はとても美味しかった。
寝るのは夜の9時。眠れなくても夜9時。
どうしても眠れないときは、イヤホンでラジオを聞いていた。
もうすぐ雪が降りそうな天気予報と、聞きなれたDJの声を聞いていた。

サンタクロースの存在は、最初から信じていなかった。
親は、そういうふうに騙す大人ではなかった。
ありがたい事だと思った。「そういうことだ」と、なぜか素直に色々と割り切れた。

誕生日を病室のベッドで過ごす事も、「そういうこと」だった。
家に帰りたいと思ったり、
友達に会いたいと思ったり、
特にそうは思わなかったけれど、
なんとなく、なんとなく、空虚だった。

ラジオ番組にリクエストされる曲は、クリスマスソングばかりになった。
興味の無いポップソングにも詳しくなった次は、歴代クリスマスソング。
投稿されるクリスマスの色んな思い出たち。
窓からは、電飾なんて見えないけれど。
清潔なシーツも静かな病室も、隣の空きベッドも、いつも通りだったけれど。
自分を残して、世界だけが動いているような錯覚。
つまらない。時間だけが流れていく。取り残されて。

誕生日おめでとう、と、朝最初に言われたのは検温の看護婦さん。
ありがとうございます。素直に微笑んだ。
なんとなく、新しいパジャマを着た。それだけ。
サンタは街にやってくる。が、病院には来ない。知ってる。
いないものは来ない。
来ないのだ。
ラジオからいつものDJの声で「メリークリスマス」と聞こえてこようとも。
世間が浮かれる日に、病室に一人で寝ていようとも。

ある少年のお話。
誕生日とクリスマスを同時に迎える、少年のお話。


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