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僕の、場所。

今日の僕は誰だろう。



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松林の向こう、君の足跡

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海、海。

彼女が愛してやまなかった海。

彼女が好んだのは月の輝かしい夜の海だったが、今は昼。

昼でもないと、私にとって海は怖い存在だった。

自分の目で波の動きや砂浜が見えていないと、背中を向けた途端に得体の知れない怪物となって襲い掛かられそうで、彼女の前でその子供じみた恐怖心を殺すのに精一杯だったのを覚えている。

数日続いた好天気のおかげで、水は透明度も高く空のように藍く青く。

襲い掛かってくる気配はなかった。

海なんていつ以来なのだろうか、かつては二人で来たのに今は一人で。

人目を忍ぶようにそっと凭れかかる髪の香りもまだ覚えているのに。

長い黒髪の女の子がいいなんて古典的だろうか、まあ彼女なら茶色でもショートでも似合うだろうけれど。

カモメが一羽。あの配色は淑やかで良い。

なんてのんびりした空間だろうか。犬の散歩、ランニング、営業回りの車。

缶コーヒーの休憩用がよく似合うような時間の速度。

水平線の向こうに何があるんだろう。澄んだ水に触れたくて、つい。

海に住む魔物は昼寝でもしているのだろう。きっとそれは夜行性。
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その力に魅せられたのは彼女で、それは私の彼女に対する引力より勝っていたのか。

その証拠に私は今も夜の海を畏れて晴れた昼間しかここに来ない。

彼女もいない海辺に一人ただひたすら波の動きを目で追い続ける。

きっとこの向こうに彼女はいる、のだから。


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