僕の、場所。 今日の僕は誰だろう。 Back
海。 波が靴を濡らさないラインを測りながらゆっくりと。 傾いた月が黙って、ただ空に佇んでいる。 絶え間ない波を黒く照らしている。 星達は気恥ずかしそうに目を細めて、歌っていた。 僕はただ、そこに居た。 誰もいない。 人工の光もない。 風すらなく、ただ月の光と波の音。そして水。 そして、そのまま 波の届かない砂浜は、僕に土の感覚を思い出させるに充分だ。 不規則なくぼみ、そして細かい粒子。 すべては僕を翻弄して足元に纏わりつく。 そして僕はそれすらも楽しくて仕方がない。 まるで異世界のような夜の浜辺。 町の喧騒から隔てられた別空間。 今夜、そこに君を連れ出したい。 ここは、黒く輝く海辺。
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