僕の、場所。
今日の僕は誰だろう。
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餌をあげていた猫が誰かに拾われた気分
公園のベンチでサンドイッチを食べる僕の 足元でみゃあみゃあ鳴いた三毛猫
切れ端を落としてみたら 嬉しそうに食べるからさ
それから僕は小さなクロワッサンを一つ余分に買うようになったんだ
くだらないかもしれない でも小さな猫との友情がこんなに楽しいなんて 温かな毛並みは次第に艶を増して 僕の事を認識しているかのように足元にすり寄ってきた 喉をなでれば幸せそうにごろごろと鳴らす
疲れた僕に ささやかな癒しを与えてくれていたんだ
ある時いつまで経っても現れない君 可愛い三毛猫 飼い猫じゃないんだからとそのまま帰ってしまったが 次の日も次の日も 小さな姿が見えないと僕は心配になってしまう
僕はある日気付いたんだ 向かいのベンチに座る老婦人の手の中に 首にリボンを巻いた三毛猫
きっと上等なキャットフードを貰っているのだろう 喉をごろごろと鳴らす それは僕の隣で、ではなく 大きなきれいな瞳も 愛嬌のあるまだら模様も そう 初めから君は僕の飼い猫じゃないのだから
「かわいい猫ですね。」
「まあ、ありがとう。」
僕がもうクロワッサンを買わなくても 君は生きていけるんだね
ばいばい ちゃんと幸せになるんだよ
餌をあげて可愛がっていた猫が誰かに拾われてしまった寂しい気分
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