海辺は赫に染まっていた。肌をさす冷えた海水に足首を飲み込ませ。足の裏の砂も赫だった。ただ風だけが穏やかで。夕暮れ時の寂しさはいや増しに増し咆哮を上げる。誰も訪れることのない赤い世界に波の音が絶え間なく。大海に委ねることの出来ない愚かさよ。更に一歩力強く、前に。