あぁ
ならば何故あなたは気付いてくれたのか
王女の甘えは許されない
隣人が一人
ガラスの破片をリボンに包んで「プレゼント」
崩れ落ちても
王女は泣けない咎人
残るはただ罪のみで
憧れた蒼い草原
羨んだ白い羽根
温かい眼差しまでも
手に届くところには何もない
手のひらには太陽などなく
冷たく輝くガラスの破片
ああどうか
どうか私を殺してください
依頼する相手は己のみ
ガラスの破片を握り締めたまま
魔法使いはお見通し
王女にその罪を問う
王女は即答
己の醜い心
信じることの出来なかった弱い心
甘えた心
愛するがゆえに
愛するがゆえに
己ばかりを見て
ガラスを踏みしめ粉々に
狂った歯車では時計は不正確
ああどうか
どうか私を殺さないでください
崩れ落ちる王女は泣けない
あぁ
ならば何故
あなたは
気付いてくれたのか……
手を振った先に鳥など飛んでいなかった
残るのはただ愚かな女