Home page





僕の、場所。

今日の僕は誰だろう。



Back


おはなし

昔々

小さな小さな国があり
国王はおらず残された王女が一人できりもりをする

人々は信頼
実りは豊か
国は平和

軍事力のないこの国は
誰にも知られることのないよう
森の奥にひっそりと息づく
攻められることのないよう

ひっそりと、ひっそりと


王女は政治をまったくしない
ただ自己申告の犯罪者から話を聞き
被害者をなだめお金を与え
病院には多額の寄付と医者への給料
王宮を売り払って金と小麦と広場を国民に分け与える

平和な平和な小さな国



ただひとつ王女の罪は

王女は国の存在を隠し
国民を国の外に出さず
嘘をつき続けていることだけ……




王女は寂しい

王子様が欲しかった
罪のすべてを語り慰める、都合のよい王子を欲した

心優しい美男子に
救いの手をさりげなく求め
高い塔からその髪を下ろす


今日は気づいてくれるかしら


その罪を口にするのがおそろしくもあり
王女はすぐに顔を隠す
王子など要らない
この身さえ無くなればもしかしたら



王女は涙を流せない




あるとき王女は手を振った
気づいてくれるかしら
気づいてくれるかしら

気づかれなかったならばただ鳥に笑いかけたのだと
子供じみた言い訳を頭に



ああ
叶うものならばその優しい言葉とともに……







その数は2から3へと


more different


My追加?
意見感想苦情文句罵倒その他所見