僕の、場所。
今日の僕は誰だろう。
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昔々
小さな小さな国があり 国王はおらず残された王女が一人できりもりをする
人々は信頼 実りは豊か 国は平和
軍事力のないこの国は 誰にも知られることのないよう 森の奥にひっそりと息づく 攻められることのないよう
ひっそりと、ひっそりと
王女は政治をまったくしない ただ自己申告の犯罪者から話を聞き 被害者をなだめお金を与え 病院には多額の寄付と医者への給料 王宮を売り払って金と小麦と広場を国民に分け与える
平和な平和な小さな国
ただひとつ王女の罪は
王女は国の存在を隠し 国民を国の外に出さず 嘘をつき続けていることだけ……
王女は寂しい
王子様が欲しかった 罪のすべてを語り慰める、都合のよい王子を欲した
心優しい美男子に 救いの手をさりげなく求め 高い塔からその髪を下ろす
今日は気づいてくれるかしら
その罪を口にするのがおそろしくもあり 王女はすぐに顔を隠す 王子など要らない この身さえ無くなればもしかしたら
王女は涙を流せない
あるとき王女は手を振った 気づいてくれるかしら 気づいてくれるかしら
気づかれなかったならばただ鳥に笑いかけたのだと 子供じみた言い訳を頭に
ああ 叶うものならばその優しい言葉とともに……
その数は2から3へと
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