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僕の、場所。

今日の僕は誰だろう。



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目撃2

それは、きっと勇気を出しての行動だっただろう。





隣へ腕を伸ばすと、さらさらの髪に触れる。

「会えて良かった」

微笑みと共に返ってくる言葉。

「それはあたしの台詞だよ」

電車の中での別れなど、時間が足りなさ過ぎる。
人目を気にしてしまうのは仕方がない事だろうか。


触れられる事に恐怖はないようだから。
満員電車を言い訳に、ギリギリまで君に近づく。
それでも足りなくて、肩に腕を回して凭れ掛けさせる。

駅が近づいてくる。カーブと停車で、速度が緩む。
しかしそれは別れが近づいている事に他ならない。

「気を付けて帰ってな」
「そっちもね。じゃ」

本当に離れてしまう、そう思っていた矢先。

最後の言葉に被るように、首筋に君の唇と体温が触れた。








何事かを理解するまでに時間は必要なかったけれど、
ホームに降り立ってにこやかに手を振る君に呆然とする。

座ったままの僕の膝に何かが触れて意識をこちらに取り戻す。
杖をついた老婆に席を譲り、数歩の移動をした。


あれ、と気付いた時には



もう電車は動き出し、既に君の姿はみえなかった。







君は僕を見ていただろうか、それとも歩き出していただろうか。
それすらも知りえない自分に呆れかえった。






最後の最後まで君を見ていたかった…なんて信じてもらえるだろうか。










ひとり、路線図を頭に描いて帰路を考える。


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