気持ちが悪い……。
男はどうにか倒れるのを踏みとどまる。
何気ない振りをして座れる場所を探す、そこにバス停。
頭が痺れるような痛みを発し、呼吸が浅く速く熱いのが分かる。
なんとか二三歩進み、バス停まで届かずに立ち尽くす。
胸が苦しかった。顔の筋肉が痺れ、唾液を飲み込む事が困難だった。
涙が滲み、どうしてもそこに立っていられなくなる。
ふわりと、いきなり重力が変わった感じ。
風景がぼやけ、遠のき、そして暗くなった。
苦しい…。
遠くで女性の悲鳴が聞こえ、アスファルトの匂いがすぐ近くでする。
もはやそれを知覚しているのが誰なのか分からず、男は意識を失う。