DEAD OR BASEBALL!

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Vol.166 2004年プロ野球戦力診断 ダイエー編
2004年01月26日(月)

<投手分析>
先発……斉藤、和田、杉内、新垣、寺原、馬原、水田、ナイト、田之上、星野
右中継ぎ……岡本、佐藤、山田、吉武、飯島
左中継ぎ……篠原、吉田、柴田、三瀬
クローザー……メルカド、グーリン

 一昨年までローテーションを支えた田之上、星野といった辺りから一気に世代交代を推し進めたダイエーの先発陣。20勝投手の斉藤、新人王の和田、日本シリーズMVPの杉内、シーズン半ばまで和田と激しく新人王を争った快速右腕の新垣、2年目で7勝を稼いだ寺原らで形成した若さ溢れるローテーションが、完全優勝を達成した原動力になったことは疑い様がない。

 この5人の平均年齢が23.8歳ということを考えると、ダイエーの先発ローテーションは非常に強固で、12球団トップクラスの陣容と言っていい。昨年は自由枠獲得の和田と新垣が1年目から主軸級以上の働きをしたが、今年の自由枠獲得の馬原にとって、今年からこのローテーションに食い込むのは容易ならざる状況とすら言える。実績組の田之上、星野、永井らまである程度の計算に入れるなら、先発陣が崩壊するということは余程のことがない限りは考えにくい。

 怖いのは俗に言う2年目のジンクスで、5人とも1年を通じて戦力になったのは去年が最初。一軍戦力として実質的に2年目ということを考えれば、今期は相当マークが厳しくなる筈。今年そのマークを掻い潜れば、向こう10年はこのローテーションが維持できておかしくない。今年は先発陣の未来を占う1年になりそうだ。

 中継ぎ陣は岡本と篠原が左右の両輪を維持できれば計算は立つ陣容。裏を返せば、この2人のうちどちらかでも戦力にならなかった場合は途端に薄さが目立ってくる。昨年は佐藤と吉武が踏ん張ったが、左の中心だった吉田に現実的な衰えが見え始め、渡辺が退団した左は特に薄さが気になる。ルーキーの三瀬、テスト入団の柴田に期待がかかるが、不安の方が大きいというのが本音。先発完投にかかる期待と負担の大きさが、磐石の先発陣の歯車を崩すきっかけになる可能性はあるかも。

 ペドラザに味をしめる以前から、ダイエーはクローザーを外国人で計算するのが通例。去年はスクルメタでコケて終盤は篠原が後ろに回ったが、今年も恐らく開幕は新外国人にクローザーを任せるのだろう。うまくはまれば大きいが、はまらなかったときは昨年のようにリリーフの弱さが影を落とす怖さもある。

診断……若さと実力を兼ね備えた磐石の先発陣に忍び寄る“実質2年目のジンクス”は杞憂に終わるか? リリーフ陣の弱さが明るみに出たとき、その負担が先発陣のしわ寄せになると少し怖いかも。



<野手分析>
1(三)川崎
2(右)柴原
3(二)井口
4(一)松中
5(捕)城島
6(左)バルデス
7(指)ズレータ
8(中)高橋
9(遊)鳥越

控え
捕手……田口、的場
内野手……本間、稲嶺、瑞季、中村
外野手……大道、出口、荒金、宮地

 昨季のチーム打率.297はプロ野球新記録。破壊力にスピードを加えた超強力打線は、小久保と村松が抜けても決して衰えたイメージを抱かない程に充実した顔触れ。松中が爆弾を抱えているのは毎年の懸念だが、指名打者にうまく組み込んで1年を通せれば今期も相手投手陣に恐怖を存分に振り撒きそうだ。

 ただ、昨年があまりにも磐石な打線で、そろそろ推し進めないといけない世代間競走が一歩遅れた感はある。主力が揃って充実期を迎えた為にレギュラーと控えの層が大きくなり緊急時の手当てに不安がある、という状況はここ数年のヤクルトと状況がよく似ているが、このまま世代間競走が進まないと、レギュラーと控えの間に年齢的・実力的に埋め難い谷が広がる懸念があるのも事実。

 昨年は川崎が見事な成長を見せ、小久保の穴を違ったタイプで見事に埋めてプラスアルファに転換した。今年もその循環をある程度期待していきたいが、期待に適いそうなのが高橋ぐらいしか見当たらないのがネックと言えばネック。投手陣はここ数年で血をガラリと入れ替えて結果を出しているだけに、身体能力とスピードでは一軍のキップに手が届きそうなドラフト2巡目の城所は今年から抜擢があるかもしれない。

 ポスト小久保で獲得した松坂世代のドラ1内野手・吉本が今年で早6年目。本来はこの選手が伸びていれば小久保の穴が全く気にならなかったのだが、投手陣とは逆に若い層が中々芽吹かなくなったのは野手陣全体に漂う不安材料。井口の残留にホッとせず、昨年川崎が形にした流れを今年も引き継いでいきたいところだ。

診断……小久保と村松が抜けても強力打線は健在と言える。ただ、そのことが控えの層の薄さやレギュラーとの谷の大きさを、否応なく浮き彫りにしたのも事実。レギュラーの圧倒的な力量は恐怖の的だが、全体的な層を考えればそこまで圧倒的ではないというのが実感。未来のことや緊急時の手当てを考えれば、新興勢力の台頭は一枚も二枚も欲しい。



<総合分析>
 連覇を充分に狙える戦力であることは間違いないが、磐石という感じを受けないのも実感としてある。投手・野手共に勢いに乗れば手の付けられない陣容だが、出足で躓くとそのままズルズルいく可能性はゼロではない。ただ、川崎に次ぐ若手の台頭があれば話は違ってくる。

 厳しいマークをかけられること必至の先発陣、新外国人クローザーが機能しなかったときに襲う全体へのしわ寄せ、歯車が欠けたときの手当てが万全ではない野手と、不安要素はいくらかあるが、それも昨年に圧倒的な強さを示したことの反動。地力はあるだけに、はまればあっさり連覇ということも。



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