DEAD OR BASEBALL!

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Vol.42 2002年プロ野球12球団戦力診断 オリックス編
2002年02月07日(木)

 ”馴染めない”ということがある。小学校時代にクラス替えで教室の風景が一変した時なんかに、自分の居場所がふと掴めなくなるような感覚である。誰と、何を、どのように話していいのか、人見知りな性格が今でも少し残っているので、初対面の人達と接する時にはそれなりに神経を使うことが多い。

 戦力診断10回目は、支配下選手63人中で新人選手が14人、新外国人選手が2人と、全く違うチームになってしまったようなオリックス編。実は小生もいまだ馴染めておりません(笑)。

<投手分析>
先発・・・小倉、具、ヤーナル、金田、川越、戎、余、小林、小川
右中継ぎ・・・山口、牧野、相木、北川、戸叶
左中継ぎ・・・嘉勢、山本
抑え・・・大久保

 む〜、サッパリ読めない投手陣だが、層の薄さだけはヒシヒシと感じる陣容。絶対的に信頼して良さそうなのは抑えの大久保だけ。期待戦力が多すぎて、ちょっと長いペナントを戦うには苦しい気がする。

 先発の柱は、小倉と具になりそうだ。小倉は昨年初めて先発固定で10勝。無四球完投3、164回を投げて26四球を見ても分かるように、大崩れが無いコントロールの鬼。サイドハンドから繰り出されるストレートも140キロ台中盤とキレがあり、シンカーの鋭さも1流。サイドハンドにしては珍しく高低で勝負出来る本格派で、やや1発病のきらいはあるものの今年も計算は立つ。具は昨年の前半は抑えとしてスタートしたが、四球が多い不安定な内容から後半は先発に回り結果を残した。右打者の懐をエグるストレートと、フワリと浮いてから曲がり落ちるスライダーは絶品で、ツボにハマった時は全く相手を寄せ付けない圧巻のピッチングをする。今年は初めから先発固定されれば最多勝の有力候補だ。

 それに続くのが金田、川越、戎、小林の昨年度故障組。金田、川越、小林は2ケタ勝利経験組で、戎は一昨年の最優秀防御率投手。いずれもまだまだ衰えが来る年齢では無く、彼等の復活が無いとオリックスのローテーションは厳しくなる。ヤーナルは来日2年目で、大化けが期待出来る素材。三振を取りまくるパワーピッチングが持ち味で、今季27歳の年齢にも信頼が持てる。期待していい。小川、余は正直言って投げてみないと分からないが、1〜2年後を睨んだ方がいい人材かも知れない。

 中継ぎ陣の不安は、決定的な左腕不足。嘉勢が昨年70試合に登板し結果を残しているが、嘉勢1人では心許ない。新人の山本を入れて考えてみたが、やはり投げてみないと分からない怖さはある。シーズン中に上積みが出来るか。右は山口、牧野の本格派、北川、相木、戸叶のサイドハンドトリオとコマは豊富なだけに、中盤はこちらで押し切ることも充分に考えられる。軸は山口で、ストレートの威力は相当なもの。フォークもいい球を放る。

 抑えの大久保は昨年の新人王。昨年は後半から抑えに固定され、7勝5敗14セーブ、防御率2.68。ロングリリーフもこなせるタフガイで、出所の見えにくいストレートにフォークを混ぜるピッチングで打者を牛耳る本格派。昨年の疲労残りが無ければ特に心配無い。

<打者分析>
1(遊)塩崎
2(二)大島
3(中)谷
4(左)シェルドン
5(一)セギノール
6(右)葛城
7(指)藤井
8(三)進藤
9(捕)日高

控え
捕手・・・吉原、深谷
内野手・・・平野、後藤、五島、佐竹、福留、塩谷
外野手・・・相川、辻、高見沢

 こちらも未知数の戦力と安定感の無い選手が多く、ハッキリ言って計算が立たない。層は薄く、これで1年戦えるかどうか本当に厳しい。

 そんな中、1番〜3番は唯一計算出来ると言っていだろう。塩崎は昨年度の得点圏打率が.400とイヤらしさ抜群。足もソコソコあり、意外に選球眼も良い。本音を言えば塩崎の1番は面白味に欠けるが、他に適任者がポイントゲッターの期待がかかる葛城くらいしかいないので、敢えて塩崎を1番に入れた。大島もイヤらしさ抜群の2番。目立った数字は残さないが選球眼が凄まじく四球を選ぶことに関してはモンスター級。出塁率も高く、オリックス打線の繋ぎには欠かせない。谷は昨年プロ野球新記録のシーズン52二塁打が示すように中距離ヒッターの鏡。毎年20個台の盗塁も計算可能で、昨年.325の打棒は完成に近い。今年は名実共にオリックスの顔になるだろう。

 中軸を新外国人2人に頼らなければならないのは打線最大のアキレス腱。他に長距離砲らしい長距離砲が大ベテラン藤井しかいないので、共に大きいのを期待したい。話によるとシェルドンは全てのポジションを守ったことがあるとか。器用な選手であることを祈る。

 葛城は昨年1年で随分と成長した。パンチ力もあり、打撃センスはかなりいいものがある。今年はクリーンナップの下のポイントゲッターを果たしてもらいたい。藤井は今年40歳になるが、その長打力はまだまだ頼れる存在。個人的には日本の左打者で最も美しいホームランを打つアーチストで、今年もここぞの場面でのグランドスラムを期待したい。進藤はこの打順に入れればイヤなバッター。リストの強い典型的なクラッチヒッターで、その長打力と定評ある守備力は捨て難い。捕手は日高で安定だろう。と言うより、他に候補がいない。

 注目の選手は平野。東海大から自由枠で入団した生粋の守備職人。現代に甦った牛若丸で、久し振りに守備だけで客を呼べる選手が出てきた。そのアクロバティック且つ正確無比な守備は必見の価値あり。他にも控えにはパンチ力ある相川と塩谷、シュアなセンスが光る高見沢等、面白いメンバーが控えている。なんだ、レギュラー陣より面白いメンバーかも(笑)。

<総合分析>
 全く読めないチームだが、優勝を狙うにはかなり苦しい現状と言わざるを得ない。ただ、新戦力が揃ってハマれば旋風を巻き起こす存在1番手であることも事実。今年のパ・リーグを左右するチームになりそうな予感がある。

 監督も変わった。チームの顔であった田口も抜けた。昨年チーム最多勝の加藤も抜けた。主砲のアリアスも抜けた。戦力ダウンは確かに痛いが、ここまでチームが変わるとかえってやりやすいかも知れない。本当の意味での、新生オリックス元年になる。



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