月の輪通信 日々の想い
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2006年12月17日(日) 16歳

12月17日、オニイの誕生日。
16歳。
おめでとう

「もう、『盗んだバイクでは〜しりだす♪』が出来ない年齢になったね。」
と昨日からゲンが何度も同じ歌を歌う。
そうか、あの孤独な目をしたロック歌手は、オニイの年齢の時にはもう、そういう主張を発信していたのだったか。
大きく曲がりもせず、かといって無理なジャンプをしたり破天荒な方向転換をしたりすることもなく、淡々と成長していくオニイ。
それでも母にとっては、何かと気にかかる第一子。
よくぞここまで大きくなったなぁという思いと、これからどんな青年に育っていくのだろうという思いと・・・。
気がつけば、今日、オニイは父の背丈をこっそりと追い抜いていた。

誕生日のご馳走のリクエストは、「石狩鍋」
TVの料理番組を見て急に食べたくなったという。
どんな鍋だかよく知らないけれど、いつもの寄せ鍋に切り身の鮭と冷凍の牡蠣を投入したら、うまいうまいとたくさん食べた。
「16歳になってもケーキは要るの?」と訊いたら、
「やっぱりケーキがなくちゃぁ・・・」とチョコレートのカットケーキが御所望。小さなケーキに自分で16本のキャンドルを立てて、兄弟たちの歌うハッピーバースディに歌に照れながら、ふーっ!

まだまだ、お子様だなぁと笑う母。
「『今年の誕生日は彼女と過ごすから』って、言えるようになるのはいつのことなの?」と毎年のように茶化すけれど、冗談ではなくもう数年すればオニイは家族と離れて暮らすようになっているかもしれないし、家族以外の大事な誰かと誕生日の夜を過ごしたいと思うようになるかもしれない。
あと何回、こうしてオニイのケーキふーっを家族一緒に祝うことが出来るのだろうと思うと、ふっと寂しくなるときもある。
もしかしたらオニイはそんな母の感傷を察して、わざわざ律儀に16本のキャンドルを林立させるのだろうか。

今日、父さんは午後から高校の同窓会で出かけていた。
ちょうど昨年の今頃、父さんの同級生が一人亡くなった。自殺だった。
その人の命日を兼ねて、開かれた同窓会だった。
ほろ酔いで帰ってきた父さんは、取っておいたマロンのケーキを食べながらオニイの身長を柱に刻み、「まぁ。しっかりやってくれ。」とオニイに言った。
「あいつらと一緒に過ごしたのは、ちょうどオニイと同じ年齢の頃やったんやなぁ。」
そのころの若い父さんたちは、40年後の自分をどんな風に思い描いていたのだろう。
家族や仕事、重い荷物を背中に一歩一歩唸るように進んでいく坂道がおそらくはオニイの未来にもある。
今はまだ好物のチョコレートケーキに頬緩むオニイにも。

子どもの誕生日の祝福に、ちょっぴり感傷が混じる歳になった。
父さんも私も。
ほんの一匙、淡い感傷ではあるけれど・・・。


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