月の輪通信 日々の想い
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2006年05月29日(月) 豆をむく

昨日、ようやく、毎年恒例のお茶会が終わった。
今年のお客様は、80人近く。
心配していたお天気も奇跡的な晴天。お客様の足元を濡らすことなく、工房の新緑をお見せすることが出来て何より。
子どもたちもそれぞれにお役目を果たして、よく働いてくれた。

仕事が終わって、ゆるゆるとけだるさを残したまま後片付けをはじめる。
お茶室のお道具類の乾燥やゴミの始末、点心席で使ったタオルや布巾類の洗濯など、まだまだ仕事は山積み。
「なんだか気合が入らないわねぇ。」と笑いながら、一つ一つ片付けて仕事場やお茶室を少しづつ通常モードに戻していく。
楽しいお祭りのあとのちょっと寂しい脱力感。
宴のあとのけだるい朝をだらだらと味わいながら、仕事を終えた。

夕方、長らく即席ご飯やお急ぎランチで切り抜けた台所で、久々にゆっくりと夕餉の支度。頂き物のグリーンピースで豆ご飯を炊く。家庭菜園で丹精して実ったというその豆は、サヤを割るとぷくぷくとした実がみっちりと手をつないで仲良くつまっていて、青い畑の匂いが春の実りの嬉しさを伝えてくれる。台所のテーブルにざるを持ち出して、次から次へと豆を剥く。
子どもらを呼んで「むいてちょうだい」と頼んだら、にぎやかに楽しい皮むき作業が出来るだろう。
でも、台所に隅に座って一人で、じっくりと豆をむく。そんなゆっくりした時間もおんなじくらい私は好き。
だから今日は、あえて子どもらを呼ばずに一人で豆の皮をむく。

笊いっぱいをおおかた剥き終えた頃、ぱちんと割ったサヤの中から青い豆粒がはじけるように指の間を転がり落ちて、テーブルの下へ見えなくなった。
ちょうど外遊びから帰ってきたばかりのアプコが「うわぁ、お豆さんが走っていった!」と言ってテーブルの下へもぐりこみ、こぼれた豆を拾ってくれた。
「元気なお豆さんだねぇ。豆ご飯にするの?」
アプコはグリーンピースの豆ご飯が大好き。
たくさんお替りして食べてくれるだろう。
ちょっと目を離すと、ぱちんと弾けて駆け出していくグリーンピースの元気さは、ちょうど今のアプコとおんなじ。

「子どもを育てるのと同じで、手抜きはしているが、野菜は自分の力で何とか成長してくれる楽しい存在です。」
菓子箱いっぱいのグリーンピースを送ってくれた人の骨太な手紙の文字が、暖かく嬉しい豆ご飯だった。


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