月の輪通信 日々の想い
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2005年09月27日(火) 新人議員

父さん不在3日目。
アプコがしきりに「お父さん、いつ帰るの?」と聞く。甘えん坊のアプコがやっぱり最初に寂しくなってくるらしい。私もそろそろ、一人で食べる昼ごはんにも飽きたし、こまごまと父さんの指示が必要な事柄も溜まってきて、「早く帰ってこないかな」の気分になってくる。
甘えん坊の末娘、依存心の強い妻・・・。

TVで話題の新人議員が記者会見していた。
棚ボタ当選後の軽率な言動を謝罪して、今後の所信表明をおこなうという。
右も左もわからないという新人議員一人に大げさな事と思いつつワイドショーの画面を眺める。
普通の若者が振って沸いた当選で舞い上がってしまっているのもよくわかるし、寄ってたかってそんなにいじめてやりなさんなという気持ちと、こんな素人の若者を公費を使って国会議員に育てていかなければならないという歯がゆさと・・・。

新人議員は26歳。
いまどきの若者としては、印象も悪くない好青年。
「金さえあれば何でも手に入る」「選挙なんか一度もいったことがない」と公言しながら、立候補するIT社長さんなんかよりはよほど正直で誠実な若者といっていいだろう。
26歳の青年を見るときに、自分の26歳の頃のことを思い浮かべるよりも、我が家の子ども達が26歳になったときの姿を重ねてしまうのは、私も年をとったということだなぁ。
少なくとも子ども達が大きくなったとき、自分がどんな生き方をしたいのか、どんな役割を果たそうとしているのか、たとえ付け焼刃の知識ででも、自分の言葉で語れる青年に育ってくれたらなぁと思う。
そういう意味では、高校の生徒会選挙並みに安易に国会議員になってしまった青年のこれからを、周りがあんまり面白がってつぶしてしまって欲しくないなぁという気もする。

「全国会議員の中で自分が誇れるのは、これまでやってきたアルバイトの職種の豊富さだ」と、お詫び会見の中で口にしていた。さぞかし、いろんな職業を経験されたのだろう。若者ならではの経験と感覚を政治の場に生かして行かれるといいと思う。
ただ、ああそうかと思ったのは、そういう豊富な職業経験をもってしても、その役職にふさわしい自重した態度とか、慎重な発言とか、そういうものを習得してくることが出来るとは限らないのだなという事。
「自分らしくやっていく」
「ありのままの気持ちを話す。」
「自分のやりたいことをやる。」
という若者の特権のようなこの言葉は、大人の社会でいつでも通用するわけではない。自分の気持ちをまげて外目を繕ったり、正直な本音は胸のうちに収めたりという、回り道も必要だ。
もしかしたら、「フリーター」とか「ニート」という人たちは、そういうい妥協を嫌って自分の気持ちだけに正直で、大人の社会に足を踏み入れるのをためらう人たちなのかもしれない。
そういう意味では、先輩議員やマスコミにもみくちゃにされた彼が、それでも自分自身を見失わずに政治の世界を泳ぎ渡るすべを身につけていったなら、それはそれで足踏みをしている多くの若者達のための何かのエネルギーになるのではないだろうか。
苦し紛れに、そんな期待を寄せてみたりする。


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