月の輪通信 日々の想い
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2004年09月01日(水) スペシャルを喰う

思いもかけない大仕事をいきなり振り当てられる事を、我が家では「スペシャルを喰う」という。
夏休み最終日、子ども達に「さあ、もう後がないよ。宿題ほんとに出来てるの?」と最後のハッパをかけていたら、いきなりスペシャルを喰った。
義兄が締め切り間近で手に負えなくなったという名簿のPC入力。
芳名録5冊分の来訪者の住所氏名を急いで入力しなければならないという。
義兄は出張の予定が決まっているし、父さんは取材で一泊の留守。
ただでさえいそがしい夏休み最終日と新学期初日。
子どもらの登校の準備のほかにも、再び始動する広報委員会のレジメ作りやら滞っている日記の更新やら、ぎりぎりいっぱい忙しいこの時期に、今回のスペシャルは少々こたえた。
日頃お世話になっている義兄の頼みとあらば、何とかお役に立ちたいとは思うものの、ブラインドタッチ未修得のぽちぽち入力の私にとっては、千人分近い名簿の入力は大仕事だ。
家事も子ども達へのハッパも、そっちのけでとにかくPCに向かう。

芳名録に書かれた来訪者の名前は全て筆ペン書き。
さらさらと流暢に書かれた文字。
なれぬ筆記具にカクカクと緊張が感じられる文字。
個性あふれる筆跡を次々に眺める。
個展の会場や式典の受付で、「どうぞご署名を」といわれて筆を取るのはなかなか緊張するものだけれど、後から整理する側からすれば、流暢な読みにくい文字よりも、稚拙に見えてもしっかり読みやすい楷書の文字がありがたいなぁなんて思ったりする。
いくつもいくつも、見知らぬ人の名前をひたすら機械のようにキーボードに打ち込む。
腕はガチガチ、目はショボショボ、まぶたの裏にはいつまでも名簿の筆文字が焼きついて残る。
私には、一日中PCに向かう職業はとてもつとまりそうにない。

8月31日の夜を、泣きたい気持ちで宿題をやっつける追い詰められたあの気持ち。
今年は子ども達ではなく、はからずも何十年ぶりかで私が味わう。
懐かしい?
とんでもない!!


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