月の輪通信 日々の想い
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先々週の日曜日、冷蔵庫が壊れた。冷凍は稼動しているものの、冷蔵はまったくだめ。修理にきてもらったら、基盤の一部が壊れて、霜がいっぱいついていたのが、原因とか。修理費13.000円也。 PTAの用事で慌てて出かけようとしたら、車のエンジンがかからなかった。 プスンプスンと間の抜けた音がする。バッテリーらしい。その前にほんの数十分、スモールランプを点けっぱなしにしていたのが原因らしい。愛車のトッポは年代物なので、バッテリーの容量も少なくなっているのだろう。とぼとぼと歩いて出かけた。 そして、PCが壊れた。ある日突然起動しなくなった。 連日、うちのPC顧問の義兄にきてもらって、ついには初期化、再インストールを試みるが、まだまだ復帰不可能。知らないうちに紛れ込んだウイルスの仕業だろうか。ノートンもしっかり入れて更新していたし、ウインドウズも常に最新だったはずなのに・・。 応急手段として、お蔵入りしていた、古いノートパソコンをつないでもらってメールとネットは何とか再開したが、何せ、骨董品の95である。おまけにモニター画面の真ん中に帯状に何も表示されない部分がある。マウスがないので、なれない操作にいらいらする。速度もめちゃくちゃ遅い。 いつになったらmyPCは復活するのだろう。そもそも、復活するのだろうか。
壊れ物続きで、気分もへこむ。 階段の電球がきれたぐらいでは驚かなくなった。 きっと、私の背後に何か悪い霊でも憑いているのだろう。 父さんもお茶会前、展覧会前に、要らぬ用事が増えていらいらする。 オニイの体調もいまいちで、まだまだ、遅刻や早退が続き、なんとなくうっとおしい。 月曜日、雨で流れたアプコの遠足、「昼から降水確率60パーセント」の中、本日強行。傘をさしてのお弁当、雨の合間を縫っての乗り物は、涙が出るほど楽しかった。 昨日、お茶会準備の買い物に出る件で、父さんと微妙な言い争い。結果、月に2回の七宝焼きの教室に行き損ねた。次回もPTAの用事で行けないというのに・・・。ぷんぷん起こっていたら、父さんが甘い甘い大福とおやつ用の菓子パンをおごってくれた。よしよし・・・。
昨日、ゲンが悔し涙で歯をぎりぎり食いしばりながら帰ってきた。 友達とのふざけあいっこが昂じて、傘で突かれたという。見ると、上の歯茎に小さな傷を作っている。傷は些細なものだったが、傘で顔面を突かれたというのは穏当ではない。少しでも外れて歯にあたっていなかったら、喉を突かれていたかもと思うと、冷や汗が出る。 とりあえず、相手の子どものうちに電話するが、あちらではそれほど危機感は感じておられない様子。子どもには直接「ごめんなさい」を言わせておられたが、微妙な温度差に、いらいらが増す。 ま、大事にいたらなかったのが儲け物。 凹み続きの母はこれしきのことではめげないぞ。
ところで、びっくりしたのはゲンの怪我よりその後の一言。 「あのな、あんまり腹が立つから、僕、自分の傘にあたって壊しちゃってん。」 どれどれ、どうせ、300円の安物の傘だ、母さんが直してやろうと見てみたら、なんとゲンの雨傘は、分解バラバラ。柄も捻じ曲げて、3つくらいに分断されている。もはや傘の形態をとどめていない。 「う、うそ。これ、ゲンが自分でやったの?」 どこに、そんな馬鹿力が・・・? いつもニコニコ穏やかなゲンの内に秘めた怒りのエネルギーの膨大さ。その激しさのままに、相手に「やり返す」とか「仕返しをする」方に力を向けなくて、本当によかった。きっと傘一本ではすまないおお事になっていただろう。多分そのことはゲン自身、自覚していて、やり場のない怒りを物にあたることで発散しているのだろう。 「物にあたるのは、よくない。ちゃんと言葉で相手に抗議しなさい」と諭すのは簡単だが、やり切れぬ怒りのエネルギーの捨て場所をゲンなりに考えているのだと思うと、叱りかたも慎重になる。
「あのなぁ、ゲン。君の悔しい気持ちはよく分かる。 その気持ちをぶつけるのに「相手にやり返す」ではなくて、「傘を壊す」事に置き換えたのはちょっとだけ偉い。 でもなぁ、ゲン、この傘、ちょっとかわいそうやんか。 どこかの誰かがこしらえてくれた傘じゃないの。 物を作る人になりたいという君が、誰かの作ったものをこんな風に八つ当たりで壊すのはよくないよ。」 少し怒りの熱がさめたゲンに静かに諭す。 うるうると濡れたまつげのままでうなづくゲンはまだまだ幼い。 本当は傘ではなく、私がこの子の怒りを真正面で受け止めてやらなくてはならなかったのだ。 トラブル続きで、イライラと日常の家事をやっつけ、愚痴を言い、子供たちを急き立てていたここ数日の私。 本当に傘をへし折ってしまいたい気持ちだったのは、私自身だったのかもしれない。
それにしても、ゲンがへし折った傘は面白いほど、バラバラだった。 良くぞここまで破壊したなと、笑ってしまう。 3分割されて、見る影もなく捻じ曲げられた傘のありさまは、日ごろめったに物を壊すことのない他の子供たちにとっても、「衝撃の映像」だったようだ。 「この、エネルギーをどこか、他に生かせんか?」 呆れ顔のオニイが、つぶやいた。 本当にねぇ、こんな風に物にあたって爆発することができたら、あんたも楽になるだろうにねぇ・・・。 本当に世の中はうまく行かない。
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