月の輪通信 日々の想い
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2004年05月06日(木) 連絡網

PTA,初めての運営委員会に出席。
「どうしよう、くじ、引いちゃったよ。」という、「相憐れむ」同志たちがぞろぞろと顔を合わせる。「右も左も判らなくて・・・」という人も多い。
「私だけではない」という安心感で、少し気が晴れる。

次回の集まりまでに、やっておかなくてはならない仕事に、自分の委員会の連絡網を作る仕事がある。
14人の委員の自宅の住所と電話番号は聞いてあるので、単に原稿を作るだけの単純な作業なのだけれど。
さて、学校やサークルで、当たり前に使われるこの連絡網、実際に機能し始めると結構不便が多い。
生活が多様化し、携帯電話が普及するようになって、自宅の電話にかけてもつながらないことが多い。
昼間には、自宅に電話してもまず相手は捕まらない
小さな子どものいる家庭でも結構夜遅くまで不在であったり、子どもだけでお留守番しているおうちがあったり。
留守電という便利な機能もあるが、仮にそこで用件は伝えられるにしても、次の人に連絡をまわしてもらうことまでは期待できないので、結局一人で2軒3軒、次の人にまで電話しなくてはならない羽目になる。
なんか不公平だなと腑に落ちない。

先日、配られた剣道の父母会の新しい連絡網は、数珠繋ぎ連絡をまわす「伝言ゲーム」形式をやめて、数件のリーダーの家からそれぞれ4,5人ずつまとめて連絡をつけるグループ形式に替わっていた。
これまでも留守宅が多くて、結局一人で何軒か電話していたので、先頭の人の実際の負担はあまり変わりないが、最初から「5軒、伝えてね」と決められている方が精神衛生上はいいようである。
とりあえず留守電にでも用件を入れておけば連絡係の責任は果たせるし、「なんで、私が3軒も掛けてるのよ!」とイライラすることもない。

そして我が委員会の連絡網。
とりあえず、自宅の固定電話の番号のみでオーソドックスな数珠繋ぎ方式を採用することにする。
中には携帯電話の番号でまわしたらとか、メールの方が便利かも・・・という声も上がっているが、人数分プリントして配るものだけに「個人情報流出」という障りもあって、一律OKと言うのも乱暴な気がする。
他の委員会の長の人に聞いたら、
「メアドや携帯ナンバーは一応、長の方には提出してもらうが、連絡網への記入は当事者同士のやり取りで訊きあってもらう。」
との事。
私自身、携帯電話は持たないので「携帯ナンバーを公表する」ということがどういう意味があることなのかよく判らないのだけれど、PCのメアドは知られたくない人もいるしなぁ。

もともと連絡網というのは、どの家庭にもいつでも誰か(おそらくは主婦)がいて、次の人に連絡をつけるという「お互いさま」の役割を果たすことが出来るという、昔の「普通の家庭」を前提に作られた制度なんだなぁとつくづく思う。
「夕飯時なら主婦はうちにいるだろう」とか「休日だから、ご主人がご在宅だろう」とか、漠然と「当たり前」と思い込んでいることも、それぞれの家庭の事情によって、必ずしも常識とはいえなくなっている。
携帯電話とかメールとか、「個人」に連絡を取る方法は急速に普及しているが、「家庭」という単位で集団に属する意識はどんどん薄くなってしまっているのだなぁ。
「うちには留守電があるから、そこに用件を入れといてくれればOKよ。」
という人は、自分が「次の人に連絡をまわす」という役割を他の人に振り当ててしまっていることに無感覚になっている。

一方で、「お友達になろうよ」の代わりに「メールアドレス教えて」という言葉で友達を作る。
くだらない日常の雑事の報告のメールでさえ、途絶えたら一人ぼっちにされているような錯覚を起こす。
どこかから流出した個人のメールアドレスが、お金で売買される。
「個」の情報がこれほど重要視され、もてはやされる中で、「家庭の中での私」「集団の中での我が家」の役割はあまり重く感じられなくなってきているような危機感がある。

奇しくも、PTAの集まりでは「学校と家庭の連絡を密にして」とか、「保護者同士のコミュニケーションを重視して」と言う言葉が、たびたび使われる。
確かに子育ての間には、近所のお母さんとの無駄話や先生達への愚痴、地域の口コミ情報が貴重な情報源となることがとても多い。
家庭同士がいつでも連絡が取り合える環境、思っていることははっきり言い合える学校との関係の必要性を痛感することも多くなった。
個人情報の重要性、「個」と「集団」のあり方、そして社会の中でも家庭の役割まで、グダグダと考えるうちに、わが委員会の連絡網は結局オーソドックスな旧来の数珠繋ぎ方式となった。
それなら無駄なことは考えずに最初からチャッチャと作っておけばよいものを・・・。
こういう要領の悪さが、私の「リーダー不適格」の根拠でもある


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