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2005年05月29日(日) 『日本はなぜ敗れるのか―敗因21カ条』

日経の「少子化に挑む」の連載“育休?おれが取るの?”の記事。男性一人以上のの育休実績を出すと「優良企業」のお墨付きがもらえる次世代育成支援対策推進法について、「数値目標を掲げる霞ヶ関流で、ささやかな実績づくりをせかしているだけにみえる」とある。これはまさに、山本七平『日本はなぜ敗れるのか―敗因21カ条』のなかの「『動員数』だけをそろえて実数がない」例そのものである。

「形式化した軍隊では『実質より員数、員数さえあれば後はどうでも』という思想は上下を通じ徹底していた。員数で作った飛行場は、一雨降れば使用に耐えぬ物でも、参謀本部の図面には立派な飛行場と記入され…」

また、国際派日本人養成講座というメルマガを購読しているのだが、「民間校長『異界』に挑戦」への読者の投稿の中で、教員の毎月の給料が「現金手渡し」であり、それを「労働者の権利」などと言って、振込に組合系の先生が強硬に反対する話が載っていた。
そういった教師達の「合理性も根拠もない反抗」も、『敗因21カ条』とだぶる。

「…一言でいえば、これが「ものまね」の結果である。一つのものを自ら創作したものは、自分で創作したのだから、また新たに創作しなおすことができる。…
一方、「まね」をしたものは、こうはいかない。…「権威」として輸入したものは、「権威」であるがゆえに、動かせなくなるのである。そして、その際必ず出てくるのが「本家よりきびしくしておけば大丈夫」という行き方であり、それは同時に「本家よりきびしいのだから、自分の方が本物だ」という主張にもなる。組織の絶対性とか、軍紀のきびしさ、礼法の厳密さ、という点では日本軍は、世界のあらゆる軍隊よりきびしく、融通がきかず、そしてこの融通がきかないことを、逆に、一つの誇りとしていた。従って、組織そのものを見れば超合理的でありながら、現実から遊離した、完全に不合理なものとなっていた。」


同著に反日感情についての章もあったが、それについてはまた改めたい。


駿馬 |MAIL

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