どう見ても少女マンガですロストキャンバス外伝19話感想。
あの日想像していたロスキャンの姿が今ここに。 3年前の夏、初めてLCの存在を知った時、勝手にこんなだろうかと思い描いていたLCは正にこんな感じの作品でした。 「少女マンガ家×もう一つの冥王神話×黄金聖闘士中心」という情報から、NDの黄金聖闘士を描く少女マンガ内容の番外編なのかと思っていたんですよね。アテナとか聖闘士とか関係ない一般の女の子から見た「はわわ、黄金聖闘士かっこいい!」が繰り返される一話完結番外編だと思ってまして(笑)。 しかも、当時の私はNDの黄金聖闘士がどんなキャラか分からなかったので(実際にはその時点では童虎とシオンしか登場してなかったわけですが)、漠然とカミュ先生でその内容をイメージしてたんです。 もちろん、こんなお貴族な格好のカミュ先生だとか、仮面舞踏会だとかを想像してたわけではないのですが、フローライト視点で描かれたこのデジェル外伝1話を見た時に真っ先に浮かんだのは、「そうだ、こういうマンガだと思ってたんだ……」という懐かしさでした。 ま、実際には本編はすげえ熱い少年マンガで、だからはまったわけなんですがね。
それにしても、つくづく今回の話は少女マンガらしいスタートをしたもんです。掲載誌、プリンセスGOLD向きなんじゃないですかい、これこそ。 キャラクターの名前が、フローライトもガーネットもジェットも石の名前で、そこも含めて少女マンガだなあと思う。セラフィナ様の名前も、確かセラフィナイトという石があるため、結果として石シリーズの一員に仲間入り。デジェルだけが異質な感じですね。 2話目以降からどういう表現になるか分かりませんが、こういった本編キャラを第三者視点で描くパターンはとてもとても好みだったりします。 しかも、ちょっと古風な感じの少女マンガっぽさがあって、そこもたまらない。ルルーちゃんが主人公のベルバラ外伝を思い出しました。人をひきつける女主人が実は……という内容の。 アルバ外伝からカルディア外伝に移った時にも思ったことですが、メインとなる聖闘士によって、作品の雰囲気がまるで違っていて、それがまた面白いんですよね。アルバとカルディアの違いはキャラの違いからくるものかと思ってましたが、デジェル外伝はそれだけじゃなく作品のつくりからまるで変えている。そのせいで、今のところ、これまで以上に独立した一個の話として成立してる印象です。 後年のフローライトの回想として語られる、不思議な美青年の物語。アルバ外伝も冒頭はペフコちゃん視点で始まったけど、主軸はアルバ視点だった。でも、デジェル外伝はもう、小説だったらフローライト一人称で決まりだと思う。 できれば、2話目以降も、フローライト視点を崩さないで欲しいなあと思っちゃいます。フローライトのキャラがなんとも楽しくって可愛くて。語り口調やナレーションの挟み方にリズムがあって読んでて気持ちいい。アルバ外伝、カルディア外伝以上に、1話からすごくキャッチーで、テンションの上がり方が半端じゃないです。 手代木さんがいろいろな作風に挑戦してるようで、さすがに12パターンを全く違う風に描くことは難しいかもしれないけれど、出来うる限り作風の違う外伝を楽しめたら……と期待しちゃいます。マンガ家としての底力をあげる挑戦なんじゃないかな、LC外伝。 とりあえず、レグレグは聖闘士カードでカードゲームでもしてくれればいいと思うよっ(笑)。
さて、前置きが果てしなく長くなってしまいましたが、ここから本文沿いの感想です。 「ヴィーヴル」が何か分かるといいのですが、不勉強のためその紋章の意味が分からなく……。と思っていたら、「ガーネットの竜らしいよ」と教えてもらいました。Wikipediaを見れば載ってるらしいので、あとで見にいくよ……。 華やかな世界に憧れるドジっ子メイドの前に現れた美青年デジェル。もう、この冒頭だけでデジェル外伝の面白さを確信しちゃった私です。氷河のキャッチコピー「氷原の貴公子」は、デジェルにも見事にはまってますね。しかも、衣装が衣装なので、本当に貴公子然としててなんともかっこいい。ゆるい束ね髪も似合ってて素敵。 成人後デジェルの登場で、ブルーグラードの面々の登場は望めないかと思ってたところへ、セラフィナ様が登場したのでますますテンション↑。ブルーグラードを離れてからずっと会えてなかったのかと思ってたけど、聖闘士になってからもこうして会う機会があったんですね、二人。 きらきら美青年に呑まれてたフローライトが、デジェルがセラフィナ様のもとへ向かった途端にさっと表情変えてるのがまた可愛くてしょうがない。でも、セラフィナ様への評価はとても公平に客観的に行ってるの。フローライトの憎めないキャラが見事に表現されてる。 「意外とやりよるな」という台詞もたまらなく可愛いです。今でこそガーネット狙いのキャラを表に出してるデジェルだけど、セラフィナ様が巻き込まれそうとなったらちゃんと守ってくれそう。そんな展開になったら、フローライトに「お二人は結局どんな関係なんですかー」とか突っ込んでほしいです。で、「弟の親友で私にとっても良い友」みたいに言われて欲しい(笑)。
ジェットについては、これまた見事に古典的な悪役で、その見事さが潔くていい。で、フローライトが心の中で率直に「バカ息子」と言ってのけてるのがまたいい。 セラフィナ様との合議の上でデジェルがフローライトを助けに来てるのもいいんですよね。困った状態をほっとけない二人の姿に萌えた。傍から見てると美男美女の麗しいカップルだよなあ。 カリツォーでジェットを止める展開も、もうもう……! 一般人には、やっぱり凍気で封じるってだけで結構なダメージなんですね。 近くにいたフローライトだけが何が起こったかに気づいていて、魔法のような助け方をした青年を「雪と氷の魔術師のよう」と表現するのが物語の流れとして本当にきれいで。カミュ先生についてアニスペで「水と氷の魔術師」というキャッチコピーがついていたけれど、それをもじったこの呼称が、結局水系の技を使わない水瓶座にはしっくりはまってる。 はー、ここまででやっと感想が半分のページに到達か……。なんかもう、一コマ一コマ語りたいレベルの面白さなんだよ、今回。
本編のデジェルが、ユニティとセラフィナ様の前以外では基本的にシャープでコールドな人だったので、ウインクのシーンを見た時は「こんな顔するんだ!」といった新鮮な驚きもありました。 子供のころのデジェルはわんこのような可愛さがあるけれど、大きくなったらその可愛さが失せて代わりにビックリするほどの美人さんになっている……と思ってたのですが、ウインクデジェルを見たら間違いなくあの男の子がデジェルに育ったんだなあと不思議な感慨を覚えちゃいました(笑)。 気の利いた助け方や人好きのする笑顔、こんな洒落者な振る舞いをするデジェルなんて、本編じゃ見られなかったからなあ。嬉しそうに笑うアルバや、心配を顔に出すカルディア、じと目のシジフォスといった、本編ではなかった表情が見られるのも外伝の魅力の一つですね。 そんな粋なハンサムに声をかけてもらって、見事に跳ね上がったフローライトのテンションが、相手がガーネット狙いと分かった途端に急降下してるのもすごく面白い。表情も、「あ゛ー…正直がっかりです」の台詞も。それでいて、女主人の美しさも認めているし誇っているから「まあ仕方ありません」と納得しちゃってるのも。 本編からの読者としてはデジェルの正体を知っちゃってるから、ただのガーネットの美貌につられたキザ男じゃないのも分かってる。でも、初見のフローライトにとっては「またか……」って感想なんですよね。うう……すごく無茶を言うけれど、今回の話は私、本編知らずに読んでみたかったように思います。星矢を知らずにLCを読みたかったと思う以上の無茶です。 調査のために来てるんだろうけど、やっぱ美貌の噂につられて……という立場を取るのがいちばん怪しまれないってことなのかな。理由付けを考えたのは、一応デジェル本人なのかしら。
ガーネット登場にあわせて音楽が流れた時の、フローライトの台詞とポーズも好きだー! 語り手となる女の子が、めちゃくちゃ魅力的だってのも、今回の話の魅力だなあ。フローライトの台詞、いろいろ音声付で聞いてみたくなるくらい面白い。 ガーネットは確かに美人だけど、どっちかっていうとセラフィナ様の方が私好みの美人さんです。そして、アルバフィカの美しさにいまだにどの女性キャラも勝てない……。 まあ、ガーネットの場合、歌声によるチャームが最大の武器なんでしょうけどね。正直、アルバもセラフィナ様も超美声ってイメージはない……。 ガーネットはあからさまに怪しい人なのですが、なんせ前回が獣闘士編だっただけに、ガーネットは冥闘士なのかまた別の敵なのかが分からなくなってるのも構成上手いですね。 先に書いた「ガーネットの竜」という言葉からすると、竜モチーフの冥闘士か、竜闘士(何それ)だったりするのかしら。 きれいなお姉さんとパーティーに行ってたなんて美味しい仕事をカルディアが羨んでる図がまじ見たい。
「血が凍る程の惨劇」という言葉も、慣用句であると同時に、氷の魔術師であるデジェルの物語に相応しい表現。今回のネームの素晴らしさは、頭一つ抜けてる感じです。 キャラクターとしては、デジェルよりも好きなキャラは多いし、例えばデジェルとカルディアを比較するならカルディアの方が断然好きだったりするのですが、そういうキャラの好き好きと別個の次元で物語が面白すぎて、デジェル外伝が今のところ外伝で一番好きな話になるんじゃ……と思えちゃってます。 どうしよう……。別に聖衣着なくていいんじゃね?な気持ちになってるよ私(笑)。このままちょいミステリーなサスペンスマンガでいいんじゃないかい?(笑)
* ところで、ケルベロス最終章って寂しすぎるよ〜! 帆奈さんのスタイルがいちばんバランスよくて好きです。 冬子先生がガチ過ぎてびっくりした。
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