みょうの日記
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宮城の伯父が亡くなった。 最近はほとんど顔を見ることもなく、なのでまだ元気いっぱいだった頃の伯父しか覚えていないが、ここ最近はほとんどうとうと眠っている状態が続いていたようだ。
数少ない伯父との思い出だが、その一つ一つは印象深い。 家族で遊びに行ったとき、伯父はせっかく遥々来てくれたからともぎたての無花果を出してくれた。それを見た従姉が「無花果なんてあったっけ?」と首をかしげると、伯父はいたって真面目な顔で「うん。隣の庭に」と言った。 こんなこともあった。どこへ行く途中だったか、私たち家族は伯父の運転する車に乗っていた。田んぼのあぜ道を走っている間、ときどき車は斜めに傾き私たちは焦って「伯父さん、田んぼに落ちちゃう! あぶないよ〜」と青くなった。が伯父はやはり真面目な顔で「大丈夫だ。落ちたときはもっと斜めになっていたから」と言った。 なかなか行けない私たちに伯父が観光案内を買って出てくれたこともあった。 どこへ行きたいかと聞かれて、実は物心ついてから一度も松島に行った記憶がなかった私は、即座に「じゃあ松島がいいかな」と言ったのだが伯父は難しい顔で「あそこは松と島しかないからつまらん」と却下されてしまった。結局連れて行ってもらったのは平泉の毛越寺だった。岩手の観光地だ。 ウケを狙っているわけではないので、どう反応していいのか大いに困った。
あの伯父だけは100まで生きると思っていたが、さみしいかぎりだ。
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