小説集
Past : Index : Will




2006年11月02日(木) : 28沈むくれなゐ
 

沈む

俺たちが一緒にいられる最後の時間…
置いてゆくしかない。
絶対許してはくれないだろうから、
だから、
眠らせた。
眠りに落ちる瞬間、最初で最後の 自分からの口付け。

遠き山に日は落ちて

夜が来る。
化物が起き出す時間。
人間の世界が眠りにつく時間。
沈むくれなゐは これから起こる血ドロみれの戦いを物語っている。
あいつには見せたくない。
俺にとって大事なあいつには…
今、自分の腕の中で眠るあいつには……

人間だった自分を振り切って化物として戦いにのぞむ
人間だった心を捨て
大事なあいつも捨てるしかない。

せめて 日が落ちるまで一緒にいさせてください。




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