てらさき雄介の日記
DiaryINDEXpastwill


2005年12月22日(木) 幻のGNP1%枠

「GNP1%枠」というものがあった。

防衛費のGNP対比のことである。

金額そのものと、国内の軍需依存を制限する意味で、毎年予算編成のときに使われていた。

中曽根内閣のある時、1%を初めて突破し、その後年月とともに話題にすらならなくなった。

今果たして何%なのかは、ネット検索では出てこない。後日自分で計算してみることとする。

映画「ロード・オブ・ウォー」は武器商人が主人公だ。演じているのはニコラス・ケイジである。

最後“些細なミス”で国際警察に捕まるが、他ならぬアメリカ合衆国の圧力で釈放される。

刑事に向かってニコラス・ケイジが言う。

「最大の武器商人は、アメリカ合衆国大統領だ。」

最後のエンディングでも、いまだに多額の武器輸出を続ける5大国(=国連安保理事国)を批判している。

アメリカという国の面白さは、この種の映画が流行るところだ。

バランス感覚なのか、あるいは映画産業が軍事産業を超えているのか。確かに映画としても見ごたえがあった。

戦争を失くすには、戦争によって利益を得る者を失くさなくてはならない。それはすなわち、アメリカなどの軍需に依存する産業構造を変えるしかない。

皮肉な言い回しだが、そのために同盟国日本が出ることは多くある。まあ現在の政府は、そんなことを考えてもいないだろうが。

GNP1%比の話に戻す。

日本政治の無原則は、ここにも現れている。もちろん1%云々は、政府が言っていたことではない。

しかし日本としての確固たる基準であったことも事実だ。1%を突破するならば、それなりの手続きと説明をするのが民主主義ではないか。

そして憲法に言う「不断の努力」は、国民にも欠けている。主権者が政府を監視することは、長期にわたる地道な作業であることを忘れてはならない。

小泉劇場によって、ある種の関心が政治に向いているのは歓迎すべきことだ。

しかしそれが流行り廃りであってはならない。


てらさき雄介 |MAILHomePage