午後から、王子の家にころがりこんでいるたまちゃんのところへ行った。 実は今日で3日めだ。連続訪問しておる。
何をするという訳でもなく、ホットカーペットの上で座って、 テレビつけたままお茶を飲んでただ話をするだけ。 私はたまちゃんの隣でひたすら編み物をしている。 王子が帰宅する少し前…夕方5時半になったら帰る。
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「内緒だよ。」と たまちゃんは手書きのチケットを見せてくれた。 ボールペンでメッセイジが書いてある。 でも、統べて英語だからぜんぜん読めない。
「えっワカンナイ。読んで。」
と言うとたまちゃんはそれを声に出して読んでくれた。
・このチケットを持ってくればたまちゃんは○○(地名)へ旅行できます。 ・○○(店名)の食べ放題がついてきます。何を頼んでもいいし、 何を飲んでもいいよ。自由に好きなものをいっぱい食べて楽しんでいいよ。 ・たまちゃんは運転しなくていい、ただ助手席にいてくれるだけでいいよ。 眠たかったら寝てしまってもいいし、喋りたくなかったら黙っていてもいいよ。 ・僕はたまちゃんが笑って隣にいてくれるだけでいいんだ、だから何の 心配も要らない。体ひとつで来てくれていいよ。 ・でも、もしもたまちゃんがこの旅行をしたくないというんだったら、 来なくていい。そのときは僕はひとりで○○へ行こうと思う。
…だったかな、うら覚えだから内容がおろそかなんだけど。
チケットはルームメイトだった たまちゃんの元カレから貰った物で。
たまちゃんが帰国する数カ月前からふたりは些細なことで喧嘩ばかり続いていた。 さいご、とても大きな喧嘩をして。次の日たまちゃんはバイト先に行った。 バイト先はアパートから少し遠くて車じゃないと来れない距離にあって、 元カレとふたりで1台をシェアしていたので バイト先まで元カレが来れるはずもない、のに、バイトを終えて車に寄るとこのチケットが車に貼ってあったのだそうだ。 歩いて持ってきたんだ、と思うとわあわあ泣いてしまった。とたまちゃん。
私にも、元カレの優しさとか愛とかが染みた。
「アメリカに、帰りなよ。」
と私はこころから言った。 いまからでも遅くないし、これからでも遅くない。
このチケットは ペラペラしてるけど一生ものだ。と思った。
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元カレはルームメイト含め9年めのたまちゃんと結婚しようと思っていた。 でも。休暇中に王子とたまちゃんはこんな関係になってしまって。 そのことも許す、と言ってくれたのだそうだ、 でもたまちゃんは王子を選んだ。
いい人だからとか、優しいからとか、お金があるからとか、いいオトコだからとか、何年一緒にいるからとか、居心地がいいから、気心がしれているからとか、誰よりも想ってくれていて、幸せにしてくれるからとか、そういうことと、関係なく、選ばれてしまうんだ、恋愛って。
残酷だ。
たまちゃんの元カレは 王子にはできない魔法を持った人だと思った。 でも、そんな魔法も恋を前にすると効かないんだなあ。
私は、眠る前すこしだけダーにたまちゃんの元カレの話をし、 (同郷なのでダーも元カレ様の事を知っている) …さすがにチケットの話は善い話すぎて大泣きしてしまいそうで言えなかったが、 悲しかった善い人のことを思って布団の影で少し泣いた。
何年後でもいいから、 また ふたりが出会うといいなあと思った。 こころからそう願う。
父長崎人+母福岡人=純血の九州オンナ、福岡に産まれ、
関東→京都→佐賀→京都→横浜→群馬と流れてます‥
レイ
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