ターリンは毎朝6時に私の鼻の先を舐めて起こしてくれる。 これがターリンと私の“ご飯プリーズ☆”の合図なのだ。
だけどだけど、今朝はターリンに朝食をあげる事が出来ない。 10時、キャリーをいじっていたらターリンが入って来たので すかさず閉じ込め キャリー抱えて部屋を出た。 昨日予約した近所の獣医へ。
初めて訪れる病院はちいさくて質素で昭和後期の感じがした。 じゃあ夕方。お願いします。と、動物病院を後にした。 ターリン、心細いだろうけどごめんね。ごめんね。
群馬は抜けるような晴天で、布団を干していたら 階下を野良猫たまちゃんが歩いていた。「あったまちゃーん。何してるの?」と声をかけたら野良猫たまちゃんは私を見上げて にゃあ と言った。 たまちゃんは人間が何か言うと にゃあ と短く小さく答える器用な野良猫で、日本猫の三毛に白を混ぜたような色合いのパステルカラーの三毛っぽいサビ猫だ。 ・今日、いいお天気だね。‥にゃあ。・お散歩してるの?‥にゃあ。・サビちゃんは?‥にゃあ。(たまちゃんにはサビちゃんという相棒がいる。いつも2匹で一緒にいる。ちなみに名前は私が勝手につけた。) そんな問答を1Fと3Fでやりとり。ターリンがいると余所の猫とどうどうと会話なんて浮気みたいでできないのだけど今日は主人不在にて浮気し放題である。 だけどこんな会話を白昼堂々とやってるところを他のマンション住人に見られると苦情になりそうだったので、「ちょっと待ってて」と冷蔵庫からちくわをもってきて まるまる1本投げてあげた。 たまちゃんは私がひっこんで戻ってくるまで待っていて、落ちて来たちくわをゲットした。かぷっ。‥と、食べるかと思ったら たまちゃんはちくわをくわえてダッシュ、お散歩をきりあげ自分の場所へと一目散に消えていった。
生きてきて、ちくわをくわえ走る猫って見た事あるだろうか? まんがみたい‥赤塚不二夫の世界だわー。
わー。すっごい、かわいい!
ちくわをくわえた、たまちゃんが消えてしまうまで見送り、 部屋に掃除機をかけたりした。
今頃 何がなんだかわからないうちに麻酔で夢見てるだろうターリンの事を思った。 これから現れるだろう美しいメス猫とターリンの子供もちょっと見てみたかったなあ。未来の可能性を切取ってしまう事を残念だと思った。だけど、例えばターリンJr.がどんなに可愛くてもその子たちの責任を取り幸せにしてやる事も出来ないし、ターリンが発情しても出歩けずストレスを溜めさせてしまうのも可哀想だと思う。ターリン個人がこれから私と暮らしていく上での事を事務的に整理的に考える。それは なんとなく心の何処かのスイッチをオフにした感覚。
ああ ターリンごめんね、ごめんねごめんね。 ずっと一緒にいるからね。
手術の事を思うと きゅっと緊張が走る。
夕方、動物病院は不安そうな犬の声と怒ってる猫の声がしていた。 会計を済ませて、檻の所へ行くと鳴いている猫の声の主がターリンだった。 今まで聞いた事のないような猫らしい猫の声にちょっと意外だった。
ターリンは 苛立っていて怒っていて、ずっと鳴いていた。 キャリーから手が伸びて車を運転する私の袖に爪をかける。
おい!どういうことか説明しろYO! ‥っていうかここから出せー!!!無視すんな!
と、始終訴える。すごい力で扉の隙間から顔を伸ばそうとする。
あーん、静かにして。 他の住人に会いやしないかとハラハラしながらマンションの階段を駆け上がり、 やっとの思いで部屋へ帰って来た。今日は一日が長かった。
私たちが部屋の匂いに包まれたとたん、ターリンが「猫の声」で鳴かなくなった。ぱたりと静かになり、キャリーから出ててきたターリンはごろごろと甘えた。
ああ帰って来たねターリン。‥にゃーん。
とかっていう問答をくりかえし、ご飯をあげた。 とてもよく食べた。 遊んであげた。ターリンはぜんぜん疲れなかった。 もっと、もっとー。。。って感じだった。
去勢したら性格が変わるとかいうけど、 ターリンはぜんぜんおとなしくならなかった。 そのときだけびびって大人しくなってる事もあるというけど、 ぜんぜんそんな感じもなかった(っていうか怒ってた)
明日はバイト休みだから、
ずっと一緒にいるからね。
そしてそして、これからもね。
父長崎人+母福岡人=純血の九州オンナ、福岡に産まれ、
関東→京都→佐賀→京都→横浜→群馬と流れてます‥
レイ
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