2004年05月28日(金) |
舞台『TRUE WEST』 |
大阪の初回に行きました。 リー(兄):松岡昌宏 オースティン(弟):大野智 ソウル・キマー:手塚とおる 母:木内みどり 舞台は、カリフォルニア・ロサンゼルスの母の家 年代は・・・わからないけど脚本の書かれたのは1980年だそうです。
<あらましと感想> アラスカに旅行中の母の家で執筆中のオースティン(大野君ね)。 彼は一流大学を出て、脚本家の道を歩んでいる。 今まさに原稿を仕上げてハリウッドのプロデューサー(ソウル=手塚さんね)にそれを売り込まんと、タイプライターを一生懸命たたいてるところ。 そこに、何年も放浪していた兄リー(松岡君ね)が帰ってくる。 見るからにならず者って感じで、砂漠で暮らしていたと言っている。 ソウルが尋ねてくるから、兄に家にいて欲しくないオースティン。 兄をなんとか外に出し、ソウルとの打ち合わせをなんとか終わらそうとしたそのときリーが帰ってくる。ソウルを相手に、リーが自分もいいストーリーを持っているという。 翌朝ゴルフはどうか、とソウルを誘う兄。 フレンドリーな兄に対して、ソウルもまんざらでもなく翌日の約束をかわし立ち去るソウル。 日が変わり、リーが、今度の話お前の作品はボツになり、俺のストーリーが選ばれると言う。 信じられない、と愕然とするオースティン。 二人の関係が、会話が進むにつれ、違った方向に行く。 この辺が山だと思うけどね。大野君の変化がすごい。 結局『兄弟愛』が流れてる、と思う。愛っていろんな形があって、あったかい、相手を思いやるきれいなものもあれば、自分の持っていないものを片割れが持っているとすれば、そこには強くて恐ろしくもある嫉妬を生む愛もある。 リーが脚本をタイプしようとするが学がなく(文字を知らない?)うまく出来ない。(タイプライター壊しちゃうんだよ)腹立ち紛れにリーが弟に「トースターを盗むことさえ出来ないやつ」といえば、「それくらい出来るさ。」と街に出て山のようにトースターを盗んでくる弟。10台以上あったよ。で、全部にパンをいれて焼くのよ(笑)これくらい俺だって出来るさ、って。 こんなやりとりだけでも、十分に兄弟どおしのぶつかりあいが、いとおしくさえ感じる。 ビールをどんどん飲んでどんどん二人とも酔っ払って、けんかもエスカレートして、(やっぱ兄弟じゃん)砂漠の生活なんてできっこない、と言われた弟は「リー、連れてってくれよ。」という。 そんなところでまたまた、兄弟じゃん!とすごく思う。 家がめちゃめちゃになったとこに、母が帰ってくる。ひとりで出ようとする兄を止める弟。行かないでくれ、と必死で引きとめる弟。 舞台は終わりに近づきます。 で、結局二人はどうなるんだろう? 砂漠に行けたんだろうか、オースティン。脚本は出来たんだろうか、リー。 そんなふうな疑問を残し終わります。
いろんな人が、この作品をやる意義があったのか?練習が足りないんじゃないか?わかりにくいじゃない?もっと力のある二人なのに、力を見せられるものをやるべきでは? とおっしゃっておられるのを見ました。 初めての大人用の(笑)舞台を観た私ですが、わかりにくいとは思わなかった。むしろ、もやもやの残るものじゃなくてよかった、と思った。二人がこんなふうに演技するんだ〜、と素直に嬉しかった。で、5日たった今、思い出しては『TRUE WEST』の意味を知るためにサム・シェパードの脚本の映画を観ようと思ってます。『パリ・テキサス』って前に観たけど、なんとなく雰囲気に共通点ありそうだなぁ、とか。 練習云々については、2月くらいに決まった話でしょ?すごくがんばったと思うよ。 4月に私、藤原君の『ハムレット』放送にすっごく期待して、期待以上でインタビューで彼がどんな風に稽古してるかとか知って(6ヶ月前からセリフとか覚えてるんだよ!)もう、それひとすじで毎日を過ごしたと。そんなふうに稽古してる舞台俳優には、はっきり言って勝てないと思う。比べてはいけない気もする。アメリカでは、マルコビッチとG.シニーズ、F.シーモア・ホフマンとJ.C.ライリーといった、実力派俳優がそりゃ力を出し切って演じたわけだから、批評家の目からみてもすごく完成度の高いものだったと思う。後者の2人は入れ替わって演じたりもしたんだし、入り込み方が違うよね。 決してジャニーズの彼らをバカにするんじゃなくって、短期間で精一杯やってきたことがわかって、私は涙でそうなほど感動したし、23歳と27歳の彼らの力が予想以上でびっくりしたし、よかったね、って言ってあげたい。きっとまたこんな舞台があったら、観に行きます。2回以上は観たいなぁ。
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