WEB!! J.B.Pro.薔薇色の日々
ほしの・しらど



 本心から

四ノ宮さん、新刊またまたおめでとうございます!
順調に発刊されてますね〜vvv
いつも先駆けてメールで知らせてくれるんで、先走り楽しみにしていますよん(^^)

四ノ宮さんに触発された訳でもないんですが、とーーーっても今、悶々と考えている事があります。

売れる売れない、イベントの予定に合う合わない、じゃなくて、全然違う場所に立って、今、私は描きたいと思っている幕末があるんです。

もちろん、大鳥や伝習、土方らが中心の脱走軍の話なんです。
が、何年も前からずっと考えつつ実現していない本です。

考えが制作に追いつかないのが一番の難点です(あかんな)

ちょっと違う話になりますが、私が同人誌をイベントで売っていた初期の頃。
幕末に転向して以降、数人の作家さんの本を読んで衝撃をうけました。
なんと言うか、私には絶対に描けない視点と、画風、センス。

好きなだけでは描けない深い内容。
(あとでご本人に言ったら、「深い意味はなかった」と笑ってらしたけど)

「こんなのを描かないとダメかも」と落ち込み、逆にその作家さんの本が見たくなくなりました。

とっても気になるのに、見たくない。
嫌いじゃないのに、傷つきそう。

ご本人さんと話をしたいのに、顔は笑顔が張り付き、いっぺん通りの挨拶しか言えず、ひいてはイベントで会いたくない、と思ってしまうくらいの緊張感。
どこかで活躍されているのを見ても、読みたくて気になって仕方ないのに、悔しくて腹立たしくて、手に取れなかった気持ち。

わかりますか?
ほんとうに心酔している作家さんに、めちゃくちゃ一方的にライバル心を燃え上がらせていたのです。
なぜ、私はあれくらいの物を描けないのか。
なぜ、あの人はあんな話が描けるのか。
なぜ、こんなに心を奪われるのか。
そして、心乱されるのか。

しばらくして、その作家さんと仲良くなり、メールやブログなどで時折、交流をさせてもらうようになりました。

そして、意を決してメールを使い、告白と懺悔をしたのです。
「私は昔、あなたの作品に惚れ込んで以降、どうにもあなたとイベントで同席するのに緊張し、恐がり、新しい作品を見るにつけ、焦燥と嫉妬でいっぱいになっていました。そんな自分がどうしても苦しくて、嫌いでした。親しくなった今でも、まだその気持ちがあります。」

すると、すぐに返信が届きました。
「私も同じような気持ちでした。」

その返信メールを泣きながら読んだ覚えがあります。
心が解けていくような安堵感に、罪悪感が消えていきました。

四ノ宮さんは、当時のその作家さんではありません。
が、内心嫉妬するようなライバルです。
小説、イラストと表現する方法は違っても、自分の道を模索し続けている人間同士です。

生活条件も違います。
はるかに四ノ宮さんの方がハードな人生でしょう。
それでも、彼女は自分の道を突き進んでいるのです。

頭が上がりません。が、今は下げてる場合ではないのです。
私も模索し続けています。
彼女が自分の道でプロになったのは彼女の努力。
私は、今は仕事として服飾イラストレーターに。

そう、しかし、自己表現するべきイラストを私は仕事にしていないのです。

正直、自称イラストレーターはたくさんいて、それなりに臨時収入をもらっている人はプロと称しています。
ま、出版社に帰属していなくても、フリーでできるのはイラストレーターの良いところですし。
実際にフリーで有名な描き手さんもたくさんいらっしゃいます。

四ノ宮さんに表紙を依頼してもらうのはとっても嬉しいし、ありがたいです。
本気でその作品のために描いてます。
かつて描いた書籍カットやポスターなどもフリーの私が受けた正規の仕事です。


ところが、ここに来て、昔、知り合った作家さんたち、四ノ宮さん、......彼女たちに今もってライバル心を燃やし続けている自分が、いったい何をしたいのかを自問自答する日々が続きました。
ここ何年も、何年も。

やっぱり漫画を描くしかないようです。
ストーリー、動き回る人物たち、吐き出す台詞、感情。
考えれば考えるほど、頭に場面が巡り、大鳥が企て、土方が見返り、本多が笑い、滝川が怒鳴り、近藤が見据える.......。

彼らをただ動かすだけじゃ、歴史漫画にしかならない。

初期、幕末を追い込むように描きなぐった原稿用紙の中には、血なまぐさい京都の闇や、広い海原、まぶしい雪景色、祭りの喧噪が生臭いくらいに入り込んでいたはずだ。

その純粋な情熱は、小手先で描けるようになった後期に消えてしまっていた。

彼女らは、見抜いていたのかもしれない。
読者にも見破られていただろう。

ほしの・しらどはつまらないヤツになった。
読む人に何にも与えなくなった。
わかってる、わかってる。
私が一番それを感じている。

何年も何年もそれが自分を押しつぶしていました。


デビューした四ノ宮さん始め、もっと前に漫画家としてプロになっていった仲の良かった作家さんたち。
心から応援していると同時に、私はあがきながらどこへ行こうかまだ迷っています。



2010年03月01日(月)
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