最強の星の真下

2003年09月20日(土) 観劇。

劇を観に行った。

ビューティフル・サンデイ。
中谷まゆみ作、板垣恭一演出。

彼らの創り出す舞台は、日常で非日常な、ホンの少しだけズレた登場人物たちの繰り広げるホームドラマなのだけれど、毎回心の何処かの柔いところ、耳の痛いところをチクリと突いてくるストーリーだ。
共感できる部分も共感できない部分もあるけれど、見終わった時、拍手を心から贈りたくなる舞台なので大好きだ。

毎回、登場人物たちは、それぞれに何かに躓いたり囚われたりしている。
その中で後ろ向きになったり卑屈になったり逃げたりしながら話は進むのだけれど、お互いを教師・反面教師にして「何とか頑張ろう」とよろよろしながらでも前に半歩踏み出すところで舞台が終わる。

それが1歩ではなくて半歩であるところが、いい。
半歩。それは何かを決意するところまで、であって、決意を実行するところまでではない。
内面世界のリアリティを感じられる匙加減だ。

実際の生活の中でも「決意まではするのだけれど、その決意は脆くも崩れて、またしても決意する」なんて事を繰り返す訳で。
表面には顕れないそういう水面下の動きを、かの登場人物たちは舞台上で言動に表して動き回るから。

だから痛いし、だから「もうちょっとだけ頑張ろうかな」と思うし、だから拍手したくなる。

今回も山ほど拍手した。




そういえば、どんなに寝不足で草臥れていて立っていても意識を失えそうでも、サードステージの舞台を観ている時に気が遠くなった事ってないなあ。
宝塚やたまに観に行く某劇団の時は、たまにスイマーに襲われることもあるのだけれど。

人間って、好きな物を見ている時は案外気力を奮い起こせる生き物なのかも。
気の持ちようって、大きい。


 < 過去  INDEX  未来 >


桂蘭 [MAIL] [深い井戸の底]

↑エンピツ投票ボタン
My追加