帰り道。 雨に降られて腐りながら歩いていたら、何かの匂いがした。 嗅ぎ慣れた匂いだ。 匂いの元はなんだなんだと見回したら、道端にオシロイバナが咲いていた。
ううむ懐かしいモノが。 と思ったが、よく考えたら昔からここに咲いているのだっけ。 私がずっと忘れていただけ。 毎年、歩道の脇のお家の人が、歩道の街路樹の根元に種を播いているのだ。
幼い頃は、この花を摘んで「パラシュート!」なんて、よくやった。 今はもう桃色しか植わっていないようだけれど、以前は黄色やシマシマなんかもあったはず。 パラシュート遊びに使う花は、黄色のものが私のご贔屓だった。
種が出来たら早速収穫して、中身を出しては「白粉だ〜」と手に塗したり。 でも全然白粉っぽくなくて、これはすぐ飽きた。沢山収穫して中身を集めれば白粉っぽくなるかしらん、なんて試しもしたけれど。 (・・・この際、余所様の植えたオシロイバナだったというのは脇に置いておく)
匂いというのは、随分と記憶を刺激するものだ。 こういう懐かしいモノに遭遇するなら、雨も悪くない。かもしれない。ような気がする。うん。
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