「綺麗な夜だから。」

あれから1年が過ぎました。
私は生きています。
1年前の今日。
私は死のうとしました。
それなのに卑しいこの身体は。
しぶとく生きようともがいたのです。

それから色々ありました。
沢山のひとを傷付けました。
今迄散々傷付けられてきたのだから。
これくらいどうって事ないでしょ。
なんて。

ひとを騙しました。
貢がせました。
寂しい想いもさせました。
本当に。
汚い生物だったと思います私は。

けれどもふと。
2万円の仏蘭西料理コースを御馳走して貰った夜に。
想ったのです。

「もういいや。」

私が本気を出せば。
こうやって貢いでくれる男がいる。
こうやってちやほやしてくれる男がいる。
こうやって跪いて別れないでくれと哀願してくれる男が存在する。
その事実だけで十分だわ。

私には女としての価値が在る。

同時に。
好きでもない男達と。
数万円のジュエリーや。
老舗の御寿司や高級料理や。
仕事帰りの送り迎えの為に。
一緒に過ごすのが厭になったのです。

それよりも自分がハッピーに過ごす為の時間が欲しいわ。

そうして私を取り巻く男達に。
笑顔で別れを告げ。
より自分を輝かせてくれる世界を探したのです。
2006年10月18日(水)

かつて・・。 / 桃色少女

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