〜ダメダメ医学生の京風日記〜 京の都に生息するダメダメ医学生、伯耕による日常生活記。 モテない王道を突っ走りながらも、萌えを求めてただ今奮闘中であります。 |
2002年10月05日(土) 秋、過去との対話、北千里にて 午後、俺は阪急千里線を走る電車の中にいた。 阪急淡路駅を発車した電車は5割ほどの乗客を乗せて、 急カーブを繰り返しながらゆっくりと進んでゆく。 沿線の風景は覚えているようでもあり、全く初めてのような気もした。 5年半という歳月は人の記憶を風化させる。 5年半前、高校3年生だった俺は、同じくこの電車の中にいた。 受験生だった俺は、日帰りで大学見学をさせてくれと親に頼み込み、 静岡から新幹線で一路大阪へ、そして吹田から北千里へ向かったのだった。 初めて実際に見に行く大学への期待、そして受験生特有の焦燥感、 それに、一人で遠く離れた土地を訪れる緊張感、 そういったものが頭の中を周回してなかなか 落着かなかったことを覚えている。 当時も俺は今と同じく、窓の外を流れる車窓を見つめ続けていた。 北千里に近づくにつれて、窓の外に緑が多くなってくる。 千里ニュータウンに入り、整然と並んだマンション群や、 整備された並木通りが目立つようになる。 そして電車の乗客も徐々に徐々に少なくなってきた。 大阪モノレールとの乗り換え駅である山田駅を過ぎると 車内の乗客は俺を含めてたった4人。 万博記念公園を過ぎ、列車は静かに終点、北千里に到着した。 ここから先の進路は5年半前の進路を辿ってという事になる。 まずは駅のどちら側に出ればいいのか、その時、 東側出口にあるアーチがかかった歩道橋を見つけた。 俺の記憶が5年半前のものとリンクしてゆく。 迷わず俺はこの歩道橋を渡った。 一度記憶がスタートを切ると、次々と新しい記憶が甦る。 駅から東へと伸びる団地沿いの深い並木道を歩いてゆく。 ゆっくりと上ってゆく坂道の頂上付近には信号があり、 脇の幼稚園で子供たちが楽しく遊んでいる。 そういえば5年半前もそうだったな、また思い出した。 並木道は割と大きな池を湛えた公園で突き当る。 道はT字に分かれていたが、どちらも俺の記憶からは遠かった。 すると目の前に公園に入る小さな入り口を見つけた。 そしてその脇に小さく「大阪大学」の矢印を発見。 公園の中に入ってゆく。 10月に入ったというのになかなか暑かった。 巨大な団地に周囲を囲まれた公園は、公園というよりは 池を囲う草叢に通り道をつけたといったほうが正しかったかもしれない。 曲がりくねった道を時折汗を拭きながら歩く。 道の突き当りにある階段を上がると、割と車通りの多い道に出た。 道に出たのはいいものの、どちらに進むか全くわからなくなった。 池の向こうには「阪大歯学部附属病院」が見える。 池の向こうのビルに見覚えがあった俺はとりあえず右に進路を取った。 カーブを曲がると「大阪大学」のプレートと共に、 大学の入り口を発見したが、俺にはここを入った記憶はなかった。 しばらく進むと歯学部附属病院入口があるらしい。 俺がかつて入ったのはそちらだったのか? 池を半周ほどしたところでもう一つの入口が見えてきた。 並木のある坂道と、上のほうで左に曲がるカーブ、見覚えがあった。 歯学部附属病院を右に通り越すと、突然視界が開け、 まっすぐに続く並木道、それに奥のほうに巨大な高層建築が見えてきた。 俺の記憶の核心部と、今実際に見ている光景がダブってゆく。 テニスコートの脇を過ぎ、巨大な図書館を過ぎると、 道路脇の芝生島に「醫學部」の石碑が見えてくる。 左右対称の巨大な建築物とそのさらに奥の巨大高層ビル、 それが大阪大学医学部、そして阪大医学部附属病院だ。 明るく巨大な建築物群はまさに技術の勝利を見せ付けるかのように、 圧倒的な存在感を持ってそびえ立っている。 かつての俺はこれが初めて見た「大学医学部」だった。 あまりの巨大な存在感、そしてそこから ひしひしと感じられる医学の中枢としての権威、 そういったものに当時の俺はただただ圧倒されるばかりだった。 山崎豊子の小説「白い巨塔」のモデルともなった 阪大医学部は、まさに「巨塔」と呼ぶに相応しい存在感をもって、 大学は違えど医学生となった今も俺を圧倒させてくれた。 あの日と同じようにビルの入口に向かう。 あの頃は入口の掲示板に書かれているものが何なのか、 そもそも入っていいのか悪いのかもわからなかったので、 結局学部の建物には入れなかったのだが、 今回は自分も大学生だという安心感もあって、 初めてビルの中に足を踏み入れてみた。 誰もいない受付、そして各講座へのポスト。 第二外科の門田教授など、有名教授のポストを見たとき、 当たり前の事ながら、ここは阪大なんだなと実感した。 学部の建物を出て附属病院横を通り過ぎる。 突き当りはもうすぐ大阪モノレールの「阪大病院」駅だ。 もう一度巨大な病院を見上げ、俺は駅に入った。 しばらく待つと列車が到着し、あれほど巨大だった病院も どんどん遠ざかり、小さくなってゆく。 当時の俺は阪大医学部を見学し終えた後、 JRで京都に向かい、京大および京大医学部に向かった。 そしてその4年後、それまでに紆余曲折はあったものの、 俺は結果としてその大学に落着く事になった。 医学生としての生活に慣れ、惰性で過ぎてゆく日々。 だけど受験生だった頃のような、医学医療に対する憧れ、 そしてそれに対する敬意は常に持ち続けていたいな、 そんな風に思った。 モノレールは万博競技場横を通って万博公園駅へ向かう。 前売り券が完売じゃなかったら今ごろあの中にいたんだけどなあ。 高原単独得点王に立つ20ゴール目、見たかったぜ(泣)。 今日のラーメン(爆) 京都百年屋: アバンティ地下に出来た新店。めっちゃ旨かったぁ。 ラーメン道場吉翔: 無添加自然な味であそこまで旨くなるんだねぇ。 堀川大宮から2本上の交差点の西、角から2軒目。 |