今年のNHK大河ドラマは『新撰組!』である。
実はまだ一回も観ていないのだけれど、三谷幸喜脚本ということでちょっと気にはなっていた。そこで今、電車の移動時間などを利用して、新撰組にまつわる話を読んでいる。司馬遼太郎の『燃えよ剣』(新潮社版)だ。
剣のために生き、剣のために死ぬ。新撰組副長・土方歳三を主人公にした、激しくも切ない、男たちの物語。今さら僕がここでいうまでもないことだが、さすがに巨匠の作である。みずみずしく描かれる人物像、緻密な取材に裏付けられた情景描写。幕末日本の空気をありありと感じさせるリアリティがある。軽妙なテンポですらすらと読ませるので、こちらも維新期の時代変容のスピードさながらにページを繰る。下巻も、もうすぐ読み終わりそうである。
それにしても僕は知らなかった。新撰組ってこういう組織だったのか。もちろん、土方だけでなく、近藤勇、沖田総司あたりは、名前だけは知っていた。大学受験で日本史選択だったし、「蛤御門の変」とか「鳥羽・伏見の戦い」なんてワードを解答用紙に記入したこともあったかもしれない。でも中味を理解していなかった。やはり興味が理解を生み、認識を変える。本はいい。
幕末期の日本では、尊王とか討幕とか攘夷とか、種々の思想が入り乱れていた。ペリーの浦賀来航のあとは、二百年以上続いた「徳川バブル」がはじけて、グチャグチャの状態になっていったわけだ。
そのなかで土方は、とにかく人を斬る。近藤が「歳、どうする」と聞けば、「斬る以外にあるまい」なんて答えたりするのだ。コワっ。もし僕がその時代に今の年齢で存在していたら、間違いなく斬られていただろう。軟弱者だからな。おそらく時代も僕を必要としなかっただろう。では現代ではどうか。
あまり変わらない気も、する。
2004年01月29日(木)
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