世の中、「プチ流行り」である。
「プチ整形」して「プチ家出」の挙句、「プチ援交」。しまいには「プチ同棲」を決め込み、「プチおやつ」をつまむ。とにかくあちこちでプチプチとうるさいのだ。
ここで、ふと気づくことがある。これらの行動はみな、若い女性に関係することなのである。
「プチ」。たしかに女の子ウケのよさそうな響き。そもそもこれはフランス語のpetit(e)であり、「小さい」とか「かわいい」といった意味だ。なるほど、なんでもかんでも「カワイー」の一語で片付けるギャルどもにはもってこいである。
彼女たちのこういった行動を「プチ現象」として研究する精神科医までいるそうだ。なんでも、物理的な小ささの「ミニ」ではなくて、感覚的な「プチ」が好まれているとのこと。
つまり、「なんとなく小さい」「そんなでもない」ということなのだ。「一生懸命」とか「精一杯」といった、やや汗臭い取り組み方が敬遠され、「プチ」の軽さが受け入れられているのだろう。みんな、どうしてそんなに疲れているの?
このプチ流行り、もう一つの共通点は、その後に続く言葉にはどれも「罪悪感」が漂うということ。なにか後ろめたいことにプチをくっつけて、その「かわいい」語感でたちまち「なにかいいこと」に変換してしまうのだ。安易だ。安易すぎる。おじさんとしては、この「プチ」にそこはかとない危険を感じてしまうのである。
女性ばかりを責めてもいけない。振り返って、われわれ男どもは大丈夫だろうか。「プチ痴漢」。ダメダメ、犯罪は犯罪。子供たちはどうか。「プチいじめ」。これがエスカレートするから怖い。では政治家は? 「プチ派兵」。これはなぜか許されてしまった。まずいよね。
2003年12月18日(木)
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