diary/column “mayuge の視点
INDEXpastnext

おもてとうら

 「裏のなかに表あり」という言葉がある。裏という字には、「表」が隠れているというのだ。なるほど、示唆に富む表現である。

 ワープロで「おもて」と打って変換すると、「表」とは別に「面」という字も出てくる。こちらは「つら」とか「かお」という意味だ。

 街中でその「おもて」を見ていて、たまらなくもったいないと思うことがある。それは女性の顔のこと。幸か不幸か僕は生まれつき女性が大好きで、電車のなかにきれいな人がいたりすると、見ていないフリをしながらも、ついつい白目の部分まで駆使してチラチラと観察してしまう。

 最近の日本人女性は、目に見えて美しい人が多くなった。これはひじょうに喜ばしい。「今どきのメーク」がさらにその美しさを引き立てているのもいい。

 だが。だがなのである。よくよく見ると、そんな美しい人のなかに、ものすごく怖い顔をしている人がいることに気づく。実はこれがけっこう多い。化粧を失敗したという意味ではなくて、目が怖いのだ。眉間にしわが寄っているのだ。つまり表情が怖いのである。

「あの上司、ホントにムカツク!」
「ああ、なんで私のまわりにはいい男がいないの?」

 きっといろいろお悩みなのだろう。一日じゅう職場で作り笑いをして、一人になったとたん顔の筋肉の緊張が緩んだのかもしれない。美しい女性たちの内面が、「裏」の部分が、無防備な「おもて」に怖いほど露出しているのだ。

 お婆さんには、鬼のような顔をした人と、仏様のように柔らかい表情の人がいる。あそこに座っているきれいな人も、「裏」の憤りが消化できないでいると、このまま積もり積もって鬼になってしまうのだろうか。もったいない。せっかくきれいな人なのに……。

 このケース、「表のなかに裏あり」である。世の美しき女性陣よ、ご用心。

2003年12月07日(日)

読んだら押して↓
エンピツユニオン

My追加
▲TOPINDEXpastnext