また8リンクスへ行ってきた。
朝九時パターソン駅集合、今日もマイドの腐りかけのベンツで乗り込む。今日のお目当ては、カナックス。前回8リンクスへスケートの練習に行ったときに、カナックスが毎朝練習をしているという情報をゲット。そのうち見学に行こうかという話をしていて、今日それを果たしたというわけだ。マイドとはGMプレイスで、試合後の「出待ち」をした仲でもある。
入り口にある、8つのリンクの「本日のスケジュール表」をチェックして、2階の見学ゾーンで待つこと数分。数人の選手が氷の上に出てきた。軽く興奮しつつ目を凝らすものの、彼らはどうやらマイナーと行き来するような若手たちの様子。「見たことのない奴ばかりだね」。そんな話をしていたところ、その中に一人、見覚えのある小柄な選手を発見。
あ、マット・クックだ。
おおー、いたよ。滑ってるよ(当たり前か)。しばらくは個々のシュート練習に見入る。皆、自由に滑りながら、様々な角度からゴーリーのいない無人のゴールへシュートを打つ。しかし、どの選手もゴールをはずしたり、バーに当てたりして決まる確率が意外に低い。
「プロって言っても、若手なんてこんなもんなのかね」
そう思った我々が甘かった。よくよく考えてみると、試合中のゴール前にはゴーリーが立ちはだかっているわけで、ど真ん中にシュートを打っても入るはずがない。皆、ゴールの四隅ギリギリのところを狙って打っていたのだ。ほほー、こうやってミリ単位のプロの技を磨いているというわけか。
その後ゴーリーも参加。アイスの半面を使った3対3の実戦形式の練習などを見学し、今度は建物の外、選手用駐車場の前で、「出待ち雪辱戦」を行うことにした。前回はシーズン中ということもあってか、試合後、車で出てきた選手は誰もサインをしてくれなかったからな。
少し待つと、向こうから若い兄ちゃんが歩いてきた。遠見では華奢な感じ。Tシャツ、短パンにサンダル姿なので、最初は選手だとは思わなかったのだが、よく見ると……。
おっ、モリソンじゃん。
近くに来れば、その男前の顔ではっきりと分かる。シーズンオフは育毛しているらしい。テレビで見たよりフサフサしていた。彼は集まったファン一人一人に丁寧にサインをしてあげていた。子供たちに交じって、当然我々もサインを頼む。ちょっと舞い上がって軽く上ずった声で礼を言ったら、「You're welcome」。紳士な男だ。
この後もう一人、これまたTシャツ・短パン・サンダル・手ぶら男が歩いてきた。誰だか分からなかったのだが、とりあえずサインをもらうと、近くにいたガキが興奮しつつ小声で話しかけてきた。「誰だれ、この人?」。実は知らねえんだ、俺。そう答えると、ガキは「チェッ」と言って別のファンに尋ねに走っていった。悪かったな、くそガキ。
今日いた大物としては、あとはリンデンくらい。彼は試合形式の練習を早めに切り上げて、これまたTシャツ・短パン・サンダル・手ぶらスタイルでキャディラックの四駆に乗って帰っていった。そういえば誰かが、リンデンはキツラノ在住って言ってたな。クックもモリソンもイエールタウン在住。今はこの辺に住んでいる連中しか参加していないのだろうか。欧州組はまだ帰省中なのかな。ま、でもモリソンのサインをゲットしたので雪辱を果たしたことにしよっと。
それにしても、シーズン前ということもあってか、選手たちは気さく。集まっていた子供たちも、かなり楽しそうだった。サインをもらった選手のことを、より一層応援するんだろうな。なんかすごく健康的。カナックスというチームが根付いていることも、バンクーバーの好きなところの一つだな。そうしみじみ感じた晩夏の一日だった。
2003年08月29日(金)
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