身体と漫画と覚悟が足りないだけの関係 |
3月だー! 1月だろうが2月だろうが3月だろうが大して変わらないんですが、仕事の予定がコロコロ変わってたまりません。もともと不規則であるけども、もっと見通し立ててくれっての。
ところでスピリッツで連載されていた「fine.」というマンガの最終巻が出ていたので購入いたしましたよ。 このマンガは痛い。重い。すえた臭いがする。 http://www.h5.dion.ne.jp/~snngw/ http://www.amazon.co.jp/Fine-1-%E4%BF%A1%E6%BF%83%E5%B7%9D-%E6%97%A5%E5%87%BA%E9%9B%84/dp/4091804098
美大卒の自称アーティスト、上杉(27歳)は夢を追いながらも現実は貧乏で、仕事もなく、ネットラジオでDJをやることだけが楽しみで、そして同じ美大出身の中途半端仲間であるサイトウ(女、27歳)とセックスするだけの関係をだらだら続けている。 その上杉が、大学の同窓会で昔付き合っていた女(会社経営)と再会し、「まだ絵描いてたんだ」と言われてバカにされた、見下されたと絶望するが、なぜかその女が「同居しよう」と言い出して、一緒に住むことになるのだが・・・というのが簡単なあらすじ。
私も27歳です。 美大卒ではないが、大学入って「やりたいことって何か」とずっと考えていて、いちおうあったが「でもその前に社会人をやったほうがいい」とアドバイスを受けて就職活動をし、今の会社に入社したのだった。それが5年前のこと。大学の時は自分がサラリーマンになる姿が全然想像できねーと思っていたし、「俺は就職しないぜ!」という人が羨ましいなあ、私には何もないな、と劣等感に駆られていた時期もあった。 しかし。 今は全然そんな風に思いません。 就職して本当によかったと思っております。工業高校のような会社に入れて本当によかった。 これが普通の会社で机にひたすら向かう仕事で周りの人もつまらなかったらこんな風には言えないのだろうけど。いや、それでもそれなりに楽しくあっぱっぱーにやってたような気もするな。私は「毎日がつまらない」と言う人は自分でおもしろくする努力をしてないのだろう、と思っている。本当につまらなくて最低で息が詰まるような職場もあるのかもしれないけどさ。
そもそも、ハタチやそこらで「やりたいこと」なんか見つかるわけないのですよ。 それは個人差があって、ハタチ前に見つける人もいれば30や40になってから見つける人だっていると思うのだ。さらにいえば、ハタチで「やりたいこと」が27になっても「やりたいこと」であるかなんて保証はない。日々生活環境は変化するし、それに伴って心も変化するもんだ。たとえば私は、以前にも書いたが「文章を書きたい」と願っていたが、今はそれとは違うことをやってみたいと思っている。それは決して「妥協」ではない。諦めたわけでもない。スナックwell歌夢やら何やらをやっているうちに私がやりたいことが別方面に向いただけのことだ。私は私の周りにいるおもしろい人々を巻き込む何かをしたい。そして私にはそれができるな、と実感したわけですよ。だけどこの先、やりたいことはまた変わっていくかもしれない。あるいはやりたいことなんかなくなってしまうかもしれない。先のことはわからない。
話がやや逸れたが、「夢を追う」なんて書けばかっこいいし、おいそれと出来る事ではないから羨望の眼差しを向けられることもあるかもしれないが、その名目を掲げただけで満足しちゃってその他のことをすべて曖昧にしている人間を見ると私は反吐が出る。「夢を追っている」自分に陶酔して、周り見えてないのってどうよ。単にその掲げた看板を下ろすに下ろせなくなってムキになっていると思ってしまうのだ。そんなちんけなプライドに囚われて、見えるもんも見えなくなっている奴なんて私には必要ない。 ああ、そんな奴に劣等感抱いていた自分さえバカらしい! ま、ハタチやそこらだったからしょうがねえか。 こういう夢追いの人は私のような人間を「社会の歯車」「現実と妥協したつまらん人間」というのだろうけど、バーカ、おまえよりずっと世界を知っているし、おまえよかずっとおもしろい生活送っているっての。ひとりでリュックしょってバックパッカーやってる奴よりずっとおもしろい旅してるわ。おまえらが行きがちな東南アジアの安宿街より田舎の工場のほうがずっとおもしれえぜ。ずっと「生」の臭いがするっての。(すべての工場労働者は凛々しくて偉大だと思う)
27歳と言う年齢は、確かに分岐点であると思う。 私もここ1,2年は大いに悩んだ。このままでいいんだろうかと頭を抱えておったし、 今のままじゃダメだという焦燥感に駆られっぱなしだった。周りの人に「ヤツザキ焦りすぎ」「なんでそんなに危機感持ってるのかわかんね」と散々言われた。ずっと前から年長の友人らに「27になると転機が訪れるよ」と言われていて、25,26の時はそれが私には来ないのではないかと焦っていたわけだ。 、実際に27になる頃には頭で焦っても何も始まらないんだなーと悟りました。動くしかないなーと。動いていけば自然と道は定まっていくなーと。 で、実際そうした結果いろんなことが動き出したし、いろんな人に出会えたし、ああ、私がやるべきことはこういうことだったんだなというのもわかってきた。まだ完全に定まったわけじゃないけど。それでももう腹は決まっている。 私の場合とは正反対で、「夢を追う」なんてのを掲げていた人にとってはその転機と言うのは現実との妥協なのかもしれないけど。他人のことは知らん。知らないが、「腹を決める」「覚悟する」ってのは共通してるんじゃなかろうか。どんなことになるにせよ。
と、このマンガの主人公に対して散々批判めいたことを書いたのになぜこのマンガを「痛い」と感じるのか。 それは、主人公とセックスの関係だけをダラダラ続けるサイトウさんに対して感じるのです。 サイトウさん、痛いよ。本当に痛い。 最初は「部屋が片付けられない女」だとか「やられるためだけに会いに行く都合のいい女」だとか主人公にずさんに扱われても無理しちゃうところだとか、ああ、メンヘルだなあと思っていたのだけど、そうじゃないんだよな。彼女は、美大時代に陶芸ですさまじく奇抜な作品を作っていたんだけど基礎的なことが一切できないという女性。格好も「キューティー」や「ジッパー」系の奇抜ファッションで耳にピアス沢山つけていて、メガネっ子で前髪揃っててという具合。 まあ、「個性派」という格好ですな。ラフォーレ原宿好きの。 しかしこの子はとにかく自分に自信がないのですよ。ないから、主人公が「好き」よりも「嫌われたくない」が先に立つ。それゆえに都合のいい女なのだ。受け身の姿勢でおるのだ。(でも受け身だけじゃどうしようもないので主人公の周りをうろつく。それが相手にはストーカーのよに見える)
あーなんかこういう女の子沢山見てきたなー。
というか、自分にもそういうとこがあったような気がする。
自分が受け身で「嫌われたくない」を先にたたせていた頃のことを思い出すと、とにかくまあ惨めだったという感情しかない。受け身だったり待っているだけの女なんてみっともないと思った。だから私はそれをやめた。受け身や待っているだけの女になるくらいなら恋愛なんかしなくていいと思った。「私には価値があるから!」とお高くとまっているわけではない。この程度の男にそこまでやる必要はないと思ったからだ。相手にとっての「性欲」を勝手に恋愛だと思い込むのは間違ってるし、ちっとも楽しかねえやと思ったから。 女はそれを恋愛だと思い込もうとするけど、そんなのは絶対に無理が生じるわけですよ。 女にとっては性欲は恋愛に変化しやすい。でも男にとってはそうではない。そうではないことをちょっと知っちゃったりしていると余計につらい。しかもみうらじゅんが書いてたけど、「男は性欲でも、恋愛のドキドキが感じられるようなそれを好むからタチが悪い」んだよな。
恋愛なんかもうしたくない。もう人を好きになったりしたくない。 私はここ2年くらいずっとそう思ってた。何度かこの日記にも書いたけど。 それは恋愛と言うものが「自分がみじめな思いをするもの」だと思ったから。受け身にさせられるものだと思ったから。正直に言いますと、男の性欲が怖いとも思った。男の性欲に期待してしまう自分にがっかりもした。あれに打ちのめされたりするのはたまらんな、もう二度とごめんだ、と思った。男の友達とバカ話で勃起だのこのちんぽなめーだのなんだのいって笑い飛ばすのは一向に構わなかったんだけど、昔の男に今付き合ってる奴いるのか的なことを聞かれた時は吐き気を催したほどだ。げろげろげろ。 まあ、そんなことはどうでもいい話だし、殆ど忘れ去ったことなのでいいのだけど、今はレイジ・アゲインスト・恋愛などとは思っていない。性欲があるのもしゃあない。そしてその性欲によって惨めな思いにさせられることもない。その頃は、自分に自信がなかったから、そいつにしがみついていたから惨めとか感じていたんだよなー。「嫌われたくない」が一番先にたっていたから、何かがあると「嫌われた!どうしよう」って慌てていたのだった。嫌われないようになんとかせねば、と躍起になっていたのだった。 しかし振り返ってみると、好かれたから嫌われないように保っていただけだった。 自分から選んだり、好きになっていたらそうは思わない。
今後、もし、 「性欲なくなったから、はい、サヨウナラ!」 と言われてもあんまり惨めな思いしないだろーなー。実際はどうなるかわかんないけどそんな気がする。そうだよなーあなたにとってこれは恋愛じゃなくて性欲だったんだもんなー、と思っちゃう気がする。 きっと泣くとは思うけど。みっともないくらいに泣くと思うけど。 いくら自信をつけても、自分で選んだ男だろうと、自分にとっては恋愛だろうと、それが相手にとって性欲なのか恋愛なのかよくわからないことで、私は自分がどうしようもなく女であることを実感する。
ってfine.の話だったな。 あやうく話を切らせてしまうとこだった。 こんなことを散々書いても主人公・上杉みたいな男になびいてしまう女は多いんだよなー
・自称アーティスト ・夢がある ・貧乏 ・伸ばし放題の髪(ちょんまげのように結っている) ・無精ヒゲ ・メガネ
こういう男好きで尽くしたり貢いでしまう女、何人か知ってますよ。 上記のような男が好きな女は今すぐ読んだ方がいいよ「fine.」。あと同僚の男らや元同期の男もこのマンガ好きな人多いので、男も読んでみてはいかがか。ただし、同僚らと私の読み方は全然違うけどね。私は上杉の自意識過剰ぶりや自己嫌悪しているようでへんにポジティブなところに腹が立ってしょうがなかったけど、彼らにはそれが好印象だったみたいだ。最後は「ウゼー」と言ってたが。
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2007年03月01日(木)
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