股・戯れ言
BBS

赤い電車は乗り換えが不便だけど

携帯の調子が芳しくないので、昼休みに門前仲町までチャリンコでピューッと一走り。
11月だというのに空気が生ぬるい。
枯葉が路面を覆っていて、タイヤで踏みつけるたびにザクザクと音がする。小学生の頃はそのザクザクという音が「雪を踏みつけている音みたいだ」と思ってわざと枯葉の上を歩いたりしたものだった。
残念ながらもう何十年も時を経てしまっているので、感慨に浸って踏みつけている時間はない。急いでショップに駆け込んだが生憎順番待ち。昼を食べる時間がなくなるのは嫌なのですぐに店を出る。
どこかで弁当でも買って会社に戻ろうかとしたら、永代通り沿いの商店街はじじばばとテキ屋の屋台で大渋滞。
ああ、今日は28日なので縁日なのだった。
お不動さんとこの道は輪をかけた大渋滞なので、チャリンコを押している(スローペースなので乗れやしない)私に通ることは困難。しょうがねえんで会社の近くで弁当買うかーなどと思いながら渋滞に任せて道を進む。
富岡八幡前まで行けば道が空いているのだ。
八幡の前についたら、そのままチャリに跨って行っちまおうとしたんだが、境内でフリーマーケットをやっていた。鳥居の前には餡餅(シャーピン/中国風おやき)の屋台が。うまそうな匂いに惹かれて一枚購入。フリマをひやかしながら歩き食い。行儀わりー。
が、これがべらぼうに熱い。舌やけどしてしまった。でもうめーのなんの。
境内にあふれる出店は着物や骨董品や古いお札など。中には股引、ズロースなどをずらーっと並べ3枚500円で叩き売りをしている店も。私は老人向け肌着売り場で働いていたりしたのでこれらの需要の高さがよくわかる。場内は50代以上率90%でしたから。
骨董品やガラクタを売っているじいさんの出店で、台の下にひっそりと村西とおるのビデオが置いてあった。性欲∞。
隣の公園に抜けると幼稚園児が走り回っている。
ちょっと頭のおかしいじじいが団子を食っているじじいに話しかけてよくわからない事態になっていた。公園は昔からごった煮な場所なのだ。
やっとの思いでおやきを食べ終わったので八幡でお参り。神様よう、今年は幸運年じゃなかったのかよう、と問う。
銀杏が見事な金色で、朱色の本殿とのコントラストが素晴らしい。
境内の隅にある喫煙所で一服。はじっこにも関わらずじじいやばばあがタバコをぷかぷか吹かしていた。禁煙ヒステリー運動と無関係で頼もしい。
砂利の上で頭に布を巻いたイスラム教徒の女性が連れている子供がわーっと遊んでいる。そういえば出店の中にはアジア衣料の店もあった。おばさんに人気だからな。
いいなあ、このゆるいごった煮感。
こんな昼休みも悪かねぇな。おやきが脂っこすぎて胃がもたれたけど。


東京ってのはこういう風景もあるところなんである。
むしろこういう街のほうが多いところなんである、というのが私の持論。六本木や渋谷やお台場が特殊なんだから。
味気ねえだのメシまずいだのなんだののたまう奴らが多いが、だったら引っ越せバーカと思ってしまう。エンケンばりに「イヤなら出てけよ」だ。
実際んとこは、私が東京から出て行きたいのだ。地方に行くとその土地の空気、ゆるやかな時間の流れ、メシのうまさなどに惹かれてその土地に住みたくなること山の如し。地方都市に住みてえよ心底。
でも東京を離れるのがなんとなく惜しいんだよな。
いいとこいっぱいあるからなー
そして知らないとこも沢山ある。
先日仕事で板橋区に行ってきたけど、板橋のことはなんにも知らなかったんだよ
な。三田線がこんなに長いとも思わなんだ。途中から地上に出るというのも知らなんだ。団地も山ほどあったが、川沿いの風景は工場地帯。
工場の窓から漏れる光が夜の川を照らす。いい光景。
うちのあたりにも川が多い。川沿いには町工場が並んでいたりする。その光景と似ていたのでいいな、と思えたのだ。
その写メール画像を別んとこでアップしたら、「小樽みたい」なんて意見も。
小樽は言い過ぎだろうよ。そんなたいそうなもんじゃねえさ、板橋だもの。
そもそもわたくしは工場や工業地帯が好きなのです。騒音や公害や自然の衰えを憂う意見も多いが、何言ってんだ、工業こそが今の生活を支えてるんじゃネエか。
おめーらの「豊かな生活」の基盤だろコノヤロー、と思う。
町のモンだろうが工業地帯のモンだろうが、工場労働者こそ近代日本最大の功労者だ。今、上流階級だのなんだのほざいてる奴らなんぞちっとも偉くない。働かない奴らはもっとダメだけど。

これまた先日仕事で京浜工業地帯に足を踏み入れたのだが、ここの光景はすごいぞ。日本の中心も世界の中心もどこだか知らないが、日本の重心を支えているのは間違いなくここだ。銀色の要塞がババンと広がる。何本も突き出る煙突に巻きつく膨大な数のパイプ群。絶え間なく吐き出される煙、そしてすぐそばに乗り入れている巨大船。長距離トラックすら小さく見える。壮観。
人間が豆粒にしか見えない。思えない。人間なんぞ大したもんではないのだ。
で、中はもっとすごい。が、中のことを書き出すと止まらなくなるので省略。

東京ってのはこういう光景もあるところなんだよな。
先述のゆるいごった煮人文化と工業化発展文化(文化じゃねえか)が両立しているのが東京のいいところ。しかもそういうものが、全然遠くなくて両隣でも成立してるからね。辺境のあたりばかりだけど。東京も立派にアジアってわけだ。

そのアジアな、愛してやまない東京をもっとも堪能できるのは、京急線沿線なのだと思うのです。
くやしいけれど(うちんとこではないから)座はてめえのもんだ、京急。
空港もあるしな。どの駅から降りても商店街あるし。
そして蒲田あたりには風俗店もあるしな。このバランスの良さ!完璧だなーくやしいけどよー。
本当にいい路線だと思うのですよ。快特のすっ飛ばしぶりは爽快だし(ただし各停はどんだけ待つのか、つうくらい待つが)三浦半島の先っぽは海べりで風景全然違うしな。一番すげえのは京成とのタッグですよ、間に都営線入っているけど。
私鉄タッグの中では最強なんじゃないのか。羽田と成田を擁しているんだものなー日比谷線で繋がってる東急線と東武線のタッグなんて仲悪そうだ。連携プレイは絶対できやしない。


そんな京急の素晴らしさを歌ったのが!
今年の私の心のベストテン第一位!
くるりの「赤い電車」なのですよ!


これ以上の名曲はないね、今年は。
京急のあの歌声もしっかり収録だ。にくいぜ。
私はくるりの熱心なファンではないので、9月に沖縄から帰ってきた際に羽田空港でこの広告を見かけて知ったのだった。
京急および京急沿線に対する愛をビンビン感じる曲だ。
赤い電車はどこかに行くための手段としてばかり取り上げられるかもしれないが、違うんだ、赤い電車が連れてってくれるのは素顔の東京部分なんだ。
岸田氏も「でっかい東京/こんな街もあるんだ/見たことのない景色見せてよ」と言っているからね。
この歌詞を打っただけで心の奥が苦く捩れて、涙腺が緩んでくる。なんでだ。

ああ、この歌って京急沿線以外の東京に対する愛も感じさせるからだ。


飛行機で東京に来た人が最初に見る光景って、この沿線のような海や川に囲まれた労働者階級で庶民的な町並みのはずなのに、なんで皆山手を目指すんだろうな。
そんなのもったいねえよ。
赤い電車や銀色の電車や青い電車に乗って見たことのない東京見にいっておくれ。決して悪いもんじゃないから。


(くるりのアルバムについても褒めちぎりたかったが長くなったので終了)
2005年11月28日(月)

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