もんすん日記

2003年11月08日(土) 他人の生活

私は人と連絡を取りつづけることが得意でない。
年賀状ですら面倒だと思うし、飲み会よりも体調や一人の時間を優先させるようになってしまった。
単に時間のやりくりが下手でエネルギー不足なだけで、会いたい人、話したい人、手紙を書かなければとずっと思っている人はたくさんいる。
日常の雑事にかまけているうちに、そんな人たちと、段々疎遠になっていくことは寂しいことだ。
絶好のコンディションで会いたいと思っているうちに、月日は流れていく。

数年ぶりに、アメリカに住む友人Bから電話をもらった。
驚いて、何度も名前を聞き返してしまった。
最後に連絡をとったのは、彼に二人目の子供が産まれて、写真を送ってもらったときだっけ?
彼の上の娘さんが、私は大好きなのだ。
友人Bは声のトーンが低く、酔っているようだった。
やあひさしぶり。
私の近況を聞く声も、ヤク中患者のように震えている。

なんかあるな、と思ったら。
彼の必死の努力にもかかわらず、奥さんと家庭内別居状態。
そしてたった四ヶ月のうちに三人もの友人がなくなったらしい。
かなり参っている様子だった。
小声でぼそぼそと喋るので、実はほとんど声が聞き取れなかったが、かろうじて今しんどい状況にいるということがわかった。

私はといえば、12時前に飲もうと思っていた眠剤を口に入れてしまったので、ふらふらしていた。
おかげではあ、とか、ふう、とか息のような返事しかしていなかったと思う。
が、これだけは言わなくては、と思い、
「これからはとにかくいつでもどこでも、誰かが必要なときは電話してくれ」とはっきり言った。

数年疎遠でいようが、私はこの人に恩があることを決して忘れてはいない。
損得勘定抜きで、まるごと人として受け入れてくれた相手に、私はどんなお返しができるだろう。

飲み歩いて馬鹿騒ぎできるのも友。
それが出来ないなら、せめて苦しいときに少しでも助けてあげたい。
B君、苦しいときに電話する相手として選んでくれたことを、とても光栄に思うよ。


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