「だから周悟は、娘が小説を読みすぎることをも警戒し、小説に溺れたロマネスクな女になることを戒めた。ロマネスクな感情を持った女は、決して現実の幸福に満足しなくなるからだし、もっと悪くすれば、わが身の不幸を享楽して生きるようになるからである。」「朝子には影がなかった。 誰にも大して愛情を持たず、一人きりでいても何か楽しみをみつけ、人の邪魔には決してならず、自分のことをくよくよ考えず、いわば底抜けに明るかった」三島由紀夫 「女神」三島って面白い。