ひさしぶりに論文を読んだ.Nielsen, Soren Bo and Peter Birch Sorensen [1997] "On the optimality of the Nordic system of dual income", Journal of Public Economics, 63, 311-329.今回の税制改革でちょっと話題になっている二元的所得税を最適課税論の観点から正当化してみようという論文で,デンマークの財政学者が書いている(ようだ).二元的所得税では,資本所得には比例的に,労働所得には累進的に課税するのだが,これを小国開放経済の世代重複モデルで説明しようとしている.もっとも,このような二元的所得税が次善の意味で最適であるというよりは,資本所得への比例税が存在する(政府がコミットする,という表現になっている)とき,労働所得に累進的に課税することがパレート改善になる,という言い方をしている.この論理のポイントは,資本所得へ課税した時点で歪みが発生しており,比例的な労働所得課税は歪みを発生しないという点にある.比例的な労働所得課税が歪みを発生しないというのは,残念ながら,労働供給を外生的に与えているという仮定に決定的に依存しているように思える(労働供給を内生にすると突然結論が弱くなる)のだが,異時点間の選択にも歪みを発生させないというのはここで重要だろうとおもう.で,そういうときには,労働所得課税で歪みをつくっておいて相殺するというのが効率性を高めることになる.だから,資本所得課税がゼロの場合には,労働所得課税も当然,比例的なものが最適であり,この場合に最善が達成される.
ほおん.
この論文のおもしろいところは,社会的厚生関数とか,不確実性とかを持ち出さなくても,累進所得課税が次善の意味で最適になる可能性を示した点にあるのだろうとおもう.つまり,公平の観点をもちいなくても累進課税が望ましい,ということだ.ふむう.
というわけで,晩御飯は「夢や」であった.尊敬する先輩との夕食というのもまたよきものである.総合研究棟のときもやっときゃよかったとちょっと後悔.しかし,お好み焼きというのは,なんとなくおなかいっぱいにならないのはなんでだろう.なんでだろう.ななななんでだろう♪
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